第1回:集客しても院が大きくならない、たったひとつの理由

新患が毎月しっかり来ている。広告も出している。それなのに、院の規模が去年とほとんど変わらない。治療院の経営で、最も多い行き詰まり方です。

原因は、たいてい集客ではありません。ここを取り違えたまま集客に投資を続けると、費用だけが増えていきます。

院は、バケツと同じ形をしています

バケツを思い浮かべてください。上から水が注がれ、底の穴から漏れていきます。

注いでいるのは、新患です。紹介、広告、看板、SNS。漏れているのは、来なくなった方です。

バケツに溜まっている量が、いま関わっている患者さんの数になります。増えるかどうかは、注ぐ量と漏れる量の差で決まります。入口が月30人でも、出口が月30人なら、1人も増えません。

多くの院が、注ぐ量だけを数えています。漏れる量を数えている院は、ほとんどありません。

理由1 入口と出口を、別々に数えていない

新患の数は、たいていの院が把握しています。では、その月に来なくなった方の数を把握している院は、どれくらいあるでしょうか。

患者数の増減は、入口と出口の差で決まります。入口が月30人でも出口が月32人なら、院は縮小します。集客が成功していても、同じだけ出ていっていれば、数字の上では何も起きていないのと同じです。

新患は来ているのに院の規模が変わらない、という相談はとても多いのですが、原因はたいてい集客ではありません。

理由2 値引きで、穴を塞ごうとしている

数字が落ちた月に、キャンペーンや割引を打つ。その月の数字は上がります。ここに落とし穴があります。

値引きは、穴にバンドエイドを貼るようなものです。時間が経てば剥がれます。しかも、割引にだけ反応する層を呼び込むことになります。この層は、次に安いところができれば、そちらへ移ります。

結果として、来院数は一時的に増えても、一人あたりの生涯価値は下がります。穴は塞がっていないので、翌月にはまた同じことが起きます。

理由3 単月の数字で判断している

これが最も見落とされます。

月ごとの数字は、想像以上に動きます。ある院で施術者ごとの離脱率を6ヶ月追跡したところ、最も低い月と高い月で40ポイント以上の差がありました。同じ人、同じやり方でです。

単月で判断すると、良い月には「うまくいっている」と考えて手を打たず、悪い月には慌てて方針を変えます。結果として施策が毎月入れ替わり、何も定着しません。判断は3ヶ月の移動平均で行う。これだけで、意思決定は安定します。

では、何から手をつけるか

順番があります。

多くの院では、離脱を数ポイント下げるほうが、集客を倍にするより速く結果が出ます。しかも費用がかかりません。ただし、自分の院がどの順番で手をつけるべきかは、自分の院の数字を見ないと決まりません。

必要なのは、システムではなく数え方

そのために新しいシステムが必要かというと、そうではありません。数えるのは、ごく少ない項目です。カルテと予約帳があれば足ります。

道具は何でも構いません。大事なのは、毎月同じ定義で数え続けることです。

数字を「管理」ではなく「診断」に使う

最後に一つ。数字を目標として上から与えると、現場は数字を作りにいきます。カルテの締め方が変わり、来なくなった方の扱いが都合よく動きます。そうなると、数字は測りたかったものを測れなくなります。

数字は、次に何をすべきかを教えてくれる診断結果として使う。この位置づけを最初に決めておくことが、実は最も大きな分かれ目になります。

この続きは 、 INSIDE OUT NUMBERS オンラインサロンへ

毎月、自分の院の数字を診断し続ける場です。

ここまでお読みいただいて、たぶん、こう思われたのではないでしょうか。

「言っていることは分かった。で、うちの院はどうなんだろう。

その問いに答えられるのは、先生の院の数字だけです。

INSIDE OUT NUMBERS は、動画を配る場ではありません。毎月、自分の数字を出して、診断を受け取る場です。何をどう数えるか。いま、どこが低いのか。次の3ヶ月で動かす1本は何か。それを毎月、一緒に見ていきます。

ひとつだけ、正直にお伝えします。今日から始めても、最初の判断ができるのは3ヶ月後です。数字は毎月しか増えないからです。3ヶ月ぶんの数字は、3ヶ月かけないと出ません。

これは売り文句ではなく、算数です。

3ヶ月 ご自身の基準線が出ます。ここから、はじめて判断ができます

6ヶ月 その基準線が動いたかどうかが分かります

12ヶ月 季節の波が見えます。12ヶ月そろわないと、原理的に見えません

24ヶ月 去年の同じ月と、比べられるようになります

つまり 、始めるのが半年遅れると、分かるのが1年遅れます。

比べる相手は、他の院ではありません。3ヶ月目に出る、先生ご自身の基準線です。

カイロプラクティックに特化しています。数字の手法はどの業種でも似ていますが、違うのは、その数字が何を測っているかです。ここでは、やり切って卒業された方を「漏れ」に数えません。

お申し込みいただけるのは、シオカワスクール CLセミナーを修了された先生です。

ION の診断は、インサイドアウトの在り方と、健康バケツ理論を前提に組み立てられています。前提を共有していない方には、同じ数字がまったく違う意味に見えてしまうためです。

金城 寿生

執筆者金城 寿生

1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティックに入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。

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