【第2回】椎間板を徹底理解!椎間板のキーである髄核とは?

前回の記事では「椎間板とは?」についてお話ししていきました。
今回はそんな椎間板において非常に重要なポイントである、「髄核」についてお話ししていきます。
椎間板を理解することは、すなわちカイロプラクティックを知ることです。
そのキーである髄核は、名前の通り椎間板の「核」であり、非常に重要な役割を担っています。
ぜひ最後まで読んで、患者様に椎間板の大切さを説明してみてください!
椎間板の中心で、圧力を受け止める組織
前回の記事では、椎間板が椎骨と椎骨の間にあり、脊柱に加わる力を分散しながら、安定性と可動性の両立を助けていることを解説しました。
椎間板は、主に次の3つの組織から構成されています。
・「中心部にある髄核」
・「髄核の周囲を取り囲む線維輪」
・「椎間板と椎体の境界にある軟骨終板」
今回は、椎間板の中心部にある「髄核」がどのような組織で、どのように脊柱を支えているのかを見ていきましょう!

髄核はどこにあるのか?
髄核は、椎間板の中心付近に存在する組織です。
椎間板を輪切りにして上から見ると、その中心付近に髄核があり、周囲を線維輪が取り囲んでいます。
ただし、髄核と線維輪の間に、はっきりとした境界線が引かれているわけではありません。特に成人では、両者が徐々に移行するような構造になっています。
髄核は完全な球体ではなく、独立して椎間板の中に存在しているわけでもありません。
よく、「椎間板の中に水風船のような髄核が入っている」と説明されることがありますが、実際には髄核だけが単独で存在しているのではなく、線維輪や軟骨終板と一体となって働いています。
髄核は何からできているのか?
髄核には、主に次のような成分が含まれています。
・水分
・プロテオグリカン
・コラーゲン
・細胞
・その他の細胞外基質
このなかでも、髄核の働きを理解するうえで重要なのが、水分とプロテオグリカンです。
プロテオグリカンとは?
プロテオグリカンは、水分を引き寄せて保持する性質を持つ大きな分子です。
スポンジが水を含むように、髄核はプロテオグリカンの働きによって多くの水分を保持しています。
ただし、髄核が水を保持する仕組みは、単に隙間に水がたまっているというものではありません。プロテオグリカンが持つ電気的な性質によって水分が引き寄せられ、組織の内部に保たれています。
この水分を多く含む性質が、髄核の弾力性や圧力を支える能力につながっています。

髄核は「ゼリー状のクッション」なのか?
髄核は、よく「ゼリー状のクッション」と表現されます。
初めて学ぶときのイメージとしては間違いではありませんが、髄核の働きを正確に理解するにはそれだけでは不十分です。
髄核の重要な役割は柔らかくつぶれることではなく、加わった圧縮力を内部の圧力へ変え、周囲へ分散させることです。
水分は圧縮されにくい性質を持っています。
そのため、水分を多く含む健康な髄核に上下から力が加わると、一方向へ簡単につぶれるのではなく、内部の圧力が高まり「外側へ」広がろうとします。
その外側へ広がろうとする力を、周囲の線維輪が受け止めます。
つまり髄核と線維輪は、別々に働いているわけではありません。
①髄核が圧縮力を受ける
②髄核内部の圧力が高まる
③髄核が外側へ広がろうとする
④線維輪がその力を受け止める
⑤椎間板全体で負荷を分散する
この連携によって、椎間板は身体の重さや動作によって生じる力を支えています。
髄核は力をどのように分散するのか?
立っているときや座っているとき、椎間板には上下から圧縮力が加わります。
しかし、もし椎骨と椎骨の間が硬い構造だけでできていたら、力が一部に集中しやすくなってしまいます。
ですが健康な髄核は、水分を多く含んでいるため、加わった力を内部の圧力として複数の方向へ伝えられます。
たとえば水の入った袋を上から押すと、押された力は真下だけではなく、袋の周囲へ伝わります。
髄核もこれに近い働きをします。
ただし、実際の髄核は単純な水袋ではありません。水分を含む組織の構造、周囲の線維輪や上下の軟骨終板などが一体となり、椎間板全体で複雑に力を受け止めています。
髄核が力を均等に分散できることで、椎体の一部分に負荷が集中するのを抑えてくれているんです!
身体を動かしたとき、髄核はどうなるのか?
脊柱を動かすと、椎間板に加わる力の位置や大きさが変化します。
たとえば身体を前に曲げる(前屈)と、椎間板の前方には圧縮力が加わりやすくなります。反対に、身体を後ろへ反らす(伸展)と、後方への圧縮力が大きくなります。
このとき髄核とその周囲の組織は、加わった力に応じて変形し、椎間板内部の圧力を調整します。
以前は「前屈すると髄核が後ろへ移動する」と単純に説明されることが多くありました。
しかし実際には、髄核が一つの塊として大きく滑るというより、椎間板全体が変形し、その内部で圧力分布や水分の分布が変化すると考える方が適切です。
髄核は自由に動き回るボールではなく、線維輪や軟骨終板とつながった組織として、椎間板全体の変形に対応しています。
髄核の水分量は一定ではない
髄核に含まれる水分量は、一日中同じではありません。
日中に立ったり座ったりして椎間板に負荷が加わると、椎間板内の圧力が高まり、水分の一部が外へ移動します。
一方、横になって休むと脊柱に加わる負荷が減少し、椎間板は再び水分を取り込みやすくなります。
そのため一般的には、朝の椎間板は水分を多く含み、夕方になると水分量が少なくなっています。
子供の頃などに、
「朝の方が身長が高いから身体測定は朝にしておけ」
と言われたことはありませんか?
朝と夜で身長がわずかに変化するのも、実はこの椎間板の水分移動が関係しているんです!
(この水分が出入りする詳しい仕組みについては、第5回の記事で解説していきます!)
髄核の水分が減るとどうなるのか?
加齢や変性などによってプロテオグリカンが減少すると、髄核は水分を保持する能力が低下します。
水分量が減少した髄核では、健康な状態と比べて圧縮力を内部の圧力として均等に分散する能力が低下します。
すると、負荷の受け方が変化し、線維輪や軟骨終板、椎間関節などにかかる力の分布も変わる可能性があります。
また、髄核と線維輪の境界は年齢とともに不明瞭になり、椎間板全体が線維化していく傾向があります。
ただし、画像上で椎間板の変性が見られることと、必ず痛みが生じることはイコールではありません。
椎間板の状態だけで症状の有無や原因を決めるのではなく、身体全体を総合的に考えてみていくことが重要です。

髄核は単独では機能できない
髄核が圧縮力を分散できるのは、髄核そのものの性質だけによるものではありません。
外側には、髄核が広がろうとする力を受け止める線維輪があります。
上下には、椎体と椎間板の境界をつくり、栄養や水分の移動にも関係する軟骨終板があります。
つまり、椎間板が正常に力を支えるためには、
・「水分を保持する髄核」
・「外側から支える線維輪」
・「上下の境界をつくる軟骨終板」
この3つが協力して働く必要があります。
髄核だけを取り出して考えるのではなく、椎間板全体の関係性を見ることが大切なんです!
まとめ
髄核は、椎間板の中心付近にある、水分を多く含んだ組織です。
その主な特徴と役割は次のとおりです。
・プロテオグリカンの働きによって水分を保持する
・上下から加わる圧縮力によって内部圧力を高める
・加わった力を周囲へ分散する
・線維輪や軟骨終板と協力して椎間板の形と機能を保つ
・負荷と休息に応じて水分量や圧力を変化させる
髄核は、椎間板の中を自由に動くボールではなく、また、ただのゼリー状のクッションでもありません。
水分を利用して圧力を受け止め、その力を周囲へ伝えることで、脊柱を支えている重要な組織です。
では、髄核が外側へ広がろうとする力は何によって支えられているのでしょうか?
次回は、髄核の周囲を取り囲む「線維輪とは何か」について詳しく解説していきます!
