【第2回】椎間板は、ただのクッションではない!? 〜髄核・線維輪・軟骨終板を理解しよう〜

こんにちは。シオカワスクールの高島克哉です。
前回は、椎骨と椎骨の間にある「椎間板」について解説しましたね。
前回の内容を忘れてしまったという方はまず、こちらの記事をご覧ください。
今回の記事では、「椎間板の具体的な構造」についてお話をしていきます。
本コラムをご覧いただくことで、椎間板が具体的にどんな構造で、どんな機能をしているか?を説明することができるようになります。
理解することで初めて、説明することができますので、しっかりと読み込んで理解を深めていきましょう!
椎間板の役割
椎間板には、
・身体の重さを受け止める
・背骨に加わる力を分散する
・椎骨が動くことを助ける
・椎骨が動きすぎないように支える
という役割があります。
椎間板というと、骨と骨の間にある「クッション」を想像するかもしれません。
しかし、椎間板は単なる柔らかいクッションではありません。
椎間板の中では、3つの組織が協力しています。
その3つが、
・髄核
・線維輪
・軟骨終板
です。
今回は、この3つがどのように身体を支えているのかを、簡単に解説します。
椎間板をつくる3つの組織
椎間板の構造を簡単に表すと、次のようになります。
①中心にある「髄核」
水分を多く含んだ、ゼリーのような部分です。
身体に加わった力を周囲へ広げます。
②髄核を包む「線維輪」
髄核の周りにある、丈夫な壁です。
髄核が外へ広がりすぎないように支えています。
③上下にある「軟骨終板」
椎間板と椎体の間にある、薄い軟骨です。
椎間板を上下から支えるだけでなく、椎間板へ栄養を届ける通り道にもなります。
まずは、
中心に髄核、周囲に線維輪、上下に軟骨終板
と覚えてください。

髄核は「水分を含んだゼリー」!?
髄核は、椎間板の中央付近にあります。
硬い球ではなく、水分を多く含んだゼリーのような組織です。
身体の重さによって椎間板が上から押されると、髄核にも圧力が加わります。
すると髄核は、その力を一か所だけで受け止めるのではなく、周囲へ広げます。
イメージとしては、水を入れた袋を上から押す場面に似ています。
袋を上から押すと、中の水は横や上下へ力を伝えます。
髄核も同じように、受けた力を椎間板全体へ広げているのです。
なぜ朝のほうが身長が高いの?
髄核は、水分を取り込むことができます。
寝ている間は、椎間板にかかる負担が減ります。
すると椎間板は水分を取り込み、少しふくらみます。
朝起きて、立つ、歩く、座るといった活動を始めると、身体の重さによって椎間板が押されます。
すると、椎間板から少しずつ水分が移動し、高さもわずかに低くなります。
そのため、夜よりも朝のほうが身長が高くなるのです。
椎間板は、一日中同じ状態ではありません。
動いている間は水分が出て、休んでいる間に水分を取り戻す。
この変化を毎日繰り返しています。

線維輪は「髄核を包む丈夫で頼れる壁」
髄核の周りを包んでいるのが線維輪です。
髄核は上から押されると、外へ広がろうとします。
その広がりを周囲から抑えているのが線維輪です。
線維輪は、一枚の壁ではありません。
丈夫な線維が、何層にも重なっています。
玉ねぎの断面のように、複数の層が髄核を囲んでいると考えると分かりやすいでしょう。
しかも、それぞれの層は線維の向きが異なります。
この構造によって、線維輪は、
- 身体を前へ曲げる
- 後ろへ反らす
- 左右へ倒す
- 身体をひねる
といった、さまざまな動きに対応できます。
つまり線維輪は、
髄核を内側に保ちながら、背骨が動くことも許している
のです。
軟骨終板は「上下から支える板」
椎間板の上下にあるのが軟骨終板です。
髄核が外へ広がろうとする力は、線維輪が周囲から支えます。
そして上下方向への力を支えているのが軟骨終板です。
軟骨終板には、
・椎間板を上下から支える
・椎間板と椎体の間で力を伝える
・椎間板へ栄養を届ける
という役割があります。
椎間板の中には、血管がほとんどありません。
そのため、血液が椎間板の中まで直接栄養を運んでいるわけではありません。
椎間板に必要な栄養は、主に軟骨終板を通って届けられます。
軟骨終板は、椎間板を支えるだけでなく、椎間板が健康な状態を保つためにも大切な組織なのです。
3つは、どのように協力しているのか
身体の重さによって、椎間板が上から押されたとします。
すると、髄核は受けた力を周囲へ広げます。
その力を、線維輪が周囲から受け止めます。
さらに軟骨終板が、上下から支えます。
つまり、
髄核が力を広げる
↓
線維輪が周囲から支える
↓
軟骨終板が上下から支える
この3つが協力することで、椎間板は身体の重さを支えることができます。
椎間板があるから、背骨は動ける
椎体は硬い骨です。
骨だけが積み重なっていたら、背骨はしなやかに動くことができません。
椎体と椎体の間に、形を変えられる椎間板があるからこそ、背骨は、
・曲がる
・反る
・左右へ倒れる
・回旋する
ことができます。
椎間板が椎骨を動かしているわけではありません。
椎骨が動くために必要な、変形できる空間をつくっている
のです。
椎間板の構造が崩れるとどうなるのか
正常な椎間板では、髄核・線維輪・軟骨終板が協力して、身体に加わる力を分散しています。
しかし、
・髄核が水分を保てなくなる
・線維輪が傷つく
・軟骨終板の状態が変化する
と、椎間板は正常な形や圧力を保ちにくくなります。
すると、一部分へ負担が集中しやすくなり、その上下にある椎骨の動き方にも変化が起こります。
つまり椎間板の変化は、椎間板だけの問題ではありません。
椎骨の位置関係や、背骨全体の動きにも影響する可能性がある
ということです。
これが、これから学んでいく「椎間板理論」を理解するための大切な土台になります。
まとめ
椎間板は、主に3つの組織からできています。
・髄核は、受けた力を周囲へ広げる
・線維輪は、髄核を周囲から支える
・軟骨終板は、椎間板を上下から支える
この3つが協力することで、椎間板は身体の重さを支えながら、背骨の動きを可能にしています。
椎間板は、ただのクッションではありません。
身体を支えながら、背骨を動かすための精密な構造なのです。
では、なぜ髄核は多くの水分を含むことができるのでしょうか。
そして、なぜ身体の重さが加わっても、椎間板は簡単には潰れないのでしょうか。
次回は、
「椎間板は、なぜ水分を含んでいるのか?」
というテーマについて解説します。
水分が椎間板の働きにとって、どれほど重要なのかを学び、椎間板の本質へ飛び込んでいきましょう!
