単月の数字でスタッフを評価しない|判断は3ヶ月平均で【第3章 #5】

毎月の数字を出すようになると、次に起きるのは比較です。誰のリピート率が高いか。誰の離脱が多いか。

そして多くの院が、その数字を面談に持ち込みます。良かれと思って、です。

ですが、単月の数字をそのまま評価に使うと、その先で起きるのは改善ではありません。数字が嘘になります。

月ごとの数字は、想像以上に動きます

単月の数字で、人を評価しない。実際に、離脱率を6ヶ月ぶん並べて分析したことがあります。

同じ人が、同じやり方で診ていても、最も低い月と高い月で40ポイント以上違っていた例があります。母数が小さいほど、偶然の影響が大きくなります。

1ヶ月だけを見れば「危機的」に見える月があり、別の月には十分に良い数字に見える。同じ数え方で、同じ院の数字です。

関わっている患者様の数が数十人規模なら、数人の増減で率は大きく動きます。とくに離脱率は分母が前月の人数なので、母数が小さいほど激しく振れます。

何が起きるか

単月で判断すると、何が起きるか。

同じ人・同じやり方でも、月によって大きく振れます。

振れているだけの数字を、評価に使うとどうなるか。

① 悪い月に指摘される → 次の月から、数字を作りにいく

② カルテの締め方が変わる。来なくなった方の扱いが、都合よく動く

③ 記録が甘くなる。そして、記録が甘くなったことは記録に残らない

④ 結果として、数字は測りたかったものを測れなくなる

数字が悪くなるのではありません。数字が嘘になります。しかも、嘘になったこと自体が分からなくなります。

一度これが起きると、その院の数字は以降ずっと疑わしくなります。取り戻すには、定義から作り直すしかありません。

直し方は、2つあります

ひとつは、判断を3ヶ月ならしで行うこと。3ヶ月移動平均とも言います。今月・先月・先々月を足して3で割るだけです。

同じデータでも、月ごとの線と3ヶ月ならしの線を並べると、まるで別の絵になります。月ごとの線は毎月「何かが起きた」ように見えますが、実際には何も起きていないことのほうが多い。

もうひとつは、使い分けを決めておくことです。

単月は「気づくため」に使う。3ヶ月ならしは「決めるため」に使う。

単月が急に動いたら見に行く。これは正しい使い方です。しかし単月で方針を変えたり、人を評価したりしない。この線を引くだけで、数字は正直なままでいられます。

カイロプラクターどうしを、並べないという選択

もう一歩踏み込むなら、そもそもカイロプラクターどうしを並べない、と決めてしまう方法があります。判定に使うのは、院全体の数字です。

診断のためだけに使う。つまり「どこを練習すればよいか」を決める材料としてだけ見る。

評価から切り離すと、記録が正直になります。正直な記録が溜まると、どの段階でつまずいているかが見えるようになる。見えれば、練習すべきことが一意に決まります。

評価に使わないほうが、結果として人は伸びます。数字が本当のことを言ってくれるからです。

まず、3ヶ月分を並べてみてください

やることは1つです。いま追いかけている指標を、3ヶ月分横に並べて、平均を出す。

そのうえで、単月で見たときの印象と、3ヶ月ならしで見たときの印象を比べてください。おそらく、いくつかの指標で印象が変わります。

その驚きが、単月に戻らないための、いちばん確実な歯止めになります。

次に読む:シリーズ 19 / 30

▶ 院の数字管理は紙1枚でできる|毎月15分でそろう手順【第3章 #6】

この続きは、INSIDE OUT NUMBERS オンラインサロンで

先月の数字が悪かった。それは、悪い月でしたか、悪い流れでしたか。

この記事でお伝えしたのは、単月では決めないという原則までです。では何ヶ月ぶんを、どうならすのかは書いていません。

3ヶ月ならしが出るのは、同じ数え方で3回数えたあとです。今日から始めても、そこまでに3ヶ月かかります。

その問いに答えられるのは、先生の院の数字だけです。

INSIDE OUT NUMBERS でやることは、3つだけです。毎月、5つの数字を打つ。3ヶ月で、先生の院の基準線を出す。

そこから、手を入れる場所を1つに絞る。むずかしい計算は、ひとつもありません。使うのは電卓だけです。

3ヶ月目、はじめて3ヶ月ならしが出ます。単月の上下に振り回されなくなり、スタッフに「今月は悪かった」と言ってしまう場面が消えます。

判断の土台が、ここでできます。

3ヶ月は、待つ時間ではありません。数えている時間です。数字は毎月しか増えませんから、始めた月が、そのまま起点になります。

来月からにすれば、分かるのも1ヶ月あとになります。

まず、今日のうちに先月の5つを出してみてください。先月の実人数、今月の新患、今月の実人数、延べ来院回数、売上。

それだけで、先生の院の1ヶ月目が終わります。手が止まったところが、いま足りていないものです。

そこから先を一緒に埋めていくのが、INSIDE OUT NUMBERS です。
 INSIDE OUT NUMBERS オンラインサロンの募集ページは、現在制作中です。準備ができ次第、ご案内します。

金城 寿生

執筆者金城 寿生

1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティックに入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。

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