離脱率の計算式の落とし穴|丁寧な院ほど数字が悪くなる【第3章 #4】

離脱率という数字があります。来なくなった患者様の割合です。多くの経営塾が、これを下げろと教えます。

ですが、この数字をそのまま追いかけると、院はある方向へ動きます。患者様を、通わせる方向です。

意図してそうなるのではありません。数え方の作りが、そうさせます。

離脱率の数え方を、分解してみます

離脱率を追いかけると、どうなるか。一般的な離脱率は、電卓をこの順番で打ちます。

先月いた人数を打つ。今月の新患を足す。今月いる人数を引く。先月いた人数で割る。100 をかける。

引き算で出た数が「来なくなった方の数」です。先月50人いて、今月8人が新しく来て、それでも今月が48人なら、10人が来なくなっている。

この10人を50で割って、20%。ここで考えていただきたいのは、この10人の中身です。

「来なくなった方」には、2種類います

来なくなった方には、2種類います。

引っ越された方。合わなかった方。忙しくなった方。ここまでは、いわゆる離脱です。

しかし、もう1種類います。計画を終えて、通う必要がなくなった方です。

症状が取れ、機能が戻り、自分で健康を保てる状態になった。だから来院の頻度が下がった、あるいは終了した。

この方は、失敗でしょうか。むしろ、カイロプラクターが目指してきた結果そのものではないでしょうか。

ところがこの数え方では、この方も「漏れ」として数えられます。

だから、丁寧な院ほど数字が悪くなる

丁寧に関わった院ほど、数字が悪く出ます。

結果として、こうなります。

① 自立を目指して丁寧に関わり、多くの方を計画完了まで導いた院 → 離脱率が上がる

② 誰も終了させず、症状が取れたあとも理由をつけて通わせ続けた院 → 離脱率が下がる

③ この数字を目標として現場に与えると、現場は2の方向へ動く

誰も悪意を持っていません。数字を良くしようとしただけです。しかし、良くしようとした先が間違っていました。

理念と経営が両立しないと感じている院の多くは、能力の問題ではなく、追いかけている数字の作りに原因があります。

数え方を、1ヶ所だけ変える

数え方を、1ヶ所だけ変えます。

直し方は簡単です。打つ順番に、引き算をひとつ足します。

変えるのは、その1ヶ所だけです。来なくなった方の中から、計画を完了して自立された方を、差し引きます。

言葉にすると、こうです。「来なくなった方」から「やり切って卒業した方」を抜く。残ったものが、本当の漏れです。

引き算がひとつ増えるだけで、丁寧に関わった院ほど数字が良くなります。理念と数字が、同じ方向を向きます。

ただし、2つをセットで見てください

2つを、セットで見てください。

落とし穴があります。数え方を変えれば、離脱率は必ず下がります。差し引くのだから当然です。

では、離脱率が下がったら良い院かというと、そうとは限りません。

計画完了者がゼロのまま離脱率だけが下がっていたら、それは自立ではありません。誰も終了させていないだけ、ということが起こり得ます。

ですから、離脱率と計画完了者数は、必ず並べて見てください。片方だけを追うと、どちらの方向にも歪みます。

数えるために、必要なもの

これを使うには、ひとつだけ準備が要ります。

記録欄がなければ、あとから数えることはできません。そして計画が6ヶ月なら、最初の完了者が出るのは半年後です。

つまり、今日記録を始めても、数字が出るのは半年後になります。

逆に言えば、始めるのが半年遅れると、数字が出るのは1年後です。この数字だけは、早く始めるほど早く手に入ります。

数字は、理念を裏切りません

数字は、理念を裏切りません。

理念と数字が矛盾するとき、疑うべきは理念ではなく、数字の定義のほうです。

打つ順番を1ヶ所変えるだけで、現場の動く方向は変わります。数字を下げろと言う前に、その数字が何を数えているのかを、一度分解してみてください。

次に読む:シリーズ 18 / 30

▶ 単月の数字でスタッフを評価しない|判断は3ヶ月平均で【第3章 #5】

この続きは、INSIDE OUT NUMBERS オンラインサロンで

先生の院の離脱率は、卒業された方を引いた数字ですか。

この記事でお伝えしたのは、打つ順番を1ヶ所だけ変えるという話までです。卒業をどう見分けるのかは書いていません。

卒業には条件が3つあります。3つそろわない方は、卒業ではなく出口です。ここを混ぜると、数字は良くなり、意味は失われます。

その問いに答えられるのは、先生の院の数字だけです。

INSIDE OUT NUMBERS でやることは、3つだけです。毎月、5つの数字を打つ。3ヶ月で、先生の院の基準線を出す。

そこから、手を入れる場所を1つに絞る。むずかしい計算は、ひとつもありません。使うのは電卓だけです。

3ヶ月目、卒業された方を引いた離脱率が出ます。やり切って卒業された方が「漏れ」に数えられなくなった瞬間、先生の院の数字は、実感に近づきます。

3ヶ月は、待つ時間ではありません。数えている時間です。数字は毎月しか増えませんから、始めた月が、そのまま起点になります。

来月からにすれば、分かるのも1ヶ月あとになります。

まず、今日のうちに先月の5つを出してみてください。先月の実人数、今月の新患、今月の実人数、延べ来院回数、売上。

それだけで、先生の院の1ヶ月目が終わります。手が止まったところが、いま足りていないものです。

そこから先を一緒に埋めていくのが、INSIDE OUT NUMBERS です。
 INSIDE OUT NUMBERS オンラインサロンの募集ページは、現在制作中です。準備ができ次第、ご案内します。

金城 寿生

執筆者金城 寿生

1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティックに入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。

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