最大限に患者説明の効果を出す6つのステップ

説明

まず、カイロプラクティックを説明には、患者様が知りたい事を確実に伝えること、そしてカイロプラクターが理解して欲しい内容をしっかりと伝えることの2つの目的があります。

初診時の患者様が知りたいことは、自身の体に起きている問題点(なぜこのような状態になったのか?)、その問題点の根本原因(どこに存在しているのか?)、根本原因解消の見込み(私にとって最適なのか?)、要する期間(どのくらいの頻度や期間通えばいいのか?)、方法(どのような治療をすれば最短で治るのか?)、そして費用といった内容となります。

カイロプラクターが伝えたい事は、カイロプラクターが神経と脳の専門家であること、神経による脳と体のつながりの重要性、脊柱と神経の関係性、サブラクセーション、アジャストメント、ケア計画といった内容になります。

このように、患者様の知りたいこと、カイロプラクターの伝えたいことを患者教育でしっかりと組み込んで行うことができれば、両者の価値観を共有することが可能になります。今回のコラムでは、最大限に患者説明の効果を出す6つのステップについてお伝えしていきます。

体と健康について

まず、患者様は何よりも自身の体に起きている問題点を知りたいと思っています。その問題点を説明することで重要なのがカイロプラクターの専門性になります。

身体の健康を考える上でカイロプラクターは、何の専門家であるかをお伝えすることで、患者様の身体で起きている問題点も正確にお伝えすることが可能になります。

カイロプラクターは、何の専門家だと思いますか?という問いから患者説明が始まります。ほとんどの初診の患者様は、カイロプラクターが神経と脳の専門家という認識はありません。知らない事があるからこそ説明を聞きたいという気持ちが出てきます。

神経による脳と体のつながりの重要性

カイロプラクターが神経と脳に専門家ということをお伝えした後に、実際に神経と脳がどのように重要なのかの説明を行います。

通常、体に何か異常が生じた場合、瞬時に神経を通じて脳にその情報は伝えられます。そして、脳は神経によって受け取った情報をもとに、適切な判断を下し、適切な対処を行います。そもそも私たちの身体は、怪我をしても自然に治癒する力があります、その力を最大限に発揮するためには、神経が重要になります。

怪我をした瞬間、神経はその怪我の詳細を脳へ伝えます。その情報を得た脳はその怪我の修復の対処にあたります。痛みとは、身体が教えてくれるシグナルになります。日頃の姿勢や、お仕事、育児、家事、スポーツなどで身体に必要以上の負荷が積み重なって身体の限界域を越えた状態を知らせてくれる大切なシグナルになります。

このように、神経と脳が身体の健康にとって1番重要であることをしっかりとお伝えすることが大切になります。

根本原因&サブラクセーションについて

初診時の多くの慢性的な患者様は、問題の根本原因が複雑であるという認識が強くあります。まずカイロプラクターとして、問題の根本原因をシンプルに説明することが重要になります。そしてなぜ今回の状態に至ったのかを解説していきます。

本来、身体に問題が生じたとしても、脳と体が神経によって正常であれば、しっかりと休息し、質の高い睡眠を取ることによって徐々に回復していきます。しかしなぜ(今回初めてこの痛みが出た・同じ痛みを繰り返している・一向に改善しない・徐々に悪化している)と言うと身体と脳をつないでいるこの神経に問題があるからになります。

神経が妨害されれば、正確な情報を脳に伝えることもできないし、脳は適切な対処を行うことができなくなります。その場所をカイロプラクティックの用語で「サブラクセーション」と呼んでいます。

このサブラクセーションの存在をしっかりと認識させることが、初診時の説明において最も重要なことになります。

脊柱と神経の関係性&患者の身体で起きている問題点

次に患者様の身体で起きている問題点がどこに存在しているかを説明していきます。特に、患者様が記入されている症状に対して重点を置いて説明することが重要になります。

患者様の身体で起きている問題の詳細を説明する際に重要なのが、神経の構造のお話になります。神経には、運動神経、自律神経、感覚神経と3つの働きを持った神経がり、それぞれ役割が異なります。痛みやしびれの症状は、感覚神経が関与していて全体の10%を占めています。筋力低下や筋肉の凝りやツッパリ感やこむら返りなどの症状は、運動神経が関与していて全体の45%を占めています。冷え症やのぼせなどの体温調整や不眠や消化や便秘や免疫やホルモンバランスの全ては、自律神経が関与していて全体の45%をしめています。

このように、神経に問題が生じても痛みを感じることがないことが多く、痛みだけではない部分にも変化が見られてくることをしっかりとお伝えすることが重要になります。お身体の変化を患者様自身で意識させることで、身体の内に意識を持つ習慣を身に着けていくようにカイロプラクターがリードしていきます。

そして、さらに患者様のカルテに記載された症状に対して脊柱レベルと神経支配の関係性を説明し問題点の根本原因の解説を行っていきます。

一般的な症状に対しての治療は、お薬などで隠そうとしますが、それは問題の根本改善でないことをお伝えします。問題の根本原因の多くは背骨の中にある神経にあることを説明し、どんなものよりも私にとって最適であることを理解して頂きます。

根本原因解消の見込み&アジャストメントについて

次にその根本原因が解消する見込みがあるかを説明していきます。カイロプラクターは、アジャストメントという手法で脳と身体を繋ぐ神経の流れを正常にすることを目的としています。

神経の妨害が取り除かれ、正確な情報を脳に伝えることができれば、脳は適切な対処を行うことができ、自然治癒力によって問題が解消される事について自信をもって患者様にお伝えしていきます。ここで重要なのが、カイロプラクターが症状を治すのではなく、患者様の自然治癒力を最大限に信頼することになります。

患者様の自然治癒力を最大限に信頼し、必ず問題が改善されることをしっかりとお伝えすることで、患者様への安心と信頼に繋がっていきます。

期間&方法&費用

どれだけカイロプラクティックが有効であるかを理解して頂いても、最後にどのくらいの期間や頻度通えばいいのか?どのような治療をすれば最短で治るのか?どのくらいの費用が掛かるのか?といった不安があります。この不安を患者説明でしっかりと説明することが重要になります。

まず、当院では3つ期間を設定しております。初診日から1ヶ月を短期ゴールに設定していります。この短期期間では、痛みの解消を目的としています。次に初診日から3カ月を中期ゴールに設定しております。この中期期間では、機能の回復及び予防を目的としています。最後に初診日から6ヶ月を長期ゴールと設定しています。この長期期間では、来院目的の達成、健康維持、メンテナンスを目的としています。

頻度では、重度の状態、麻痺や日常生活に支障をきたすレベルの問題であれば、最初の1ヶ月を週3回のケアから始めて行きます。通院されていく中で状態が早期に改善に向かっているのであれば通院間隔を徐々に広げて行きます。

中度の中度、シビレや環境の変化によって日常生活に支障が出るレベルの問題であれば、週2回のケアから始めて行きます。軽度の状態、痛みのみで日常生活に支障が出るレベルでなければ、週1回のケアから始めて行きます。また、レントゲン評価を行い椎間板の段階を分析した上で最終的なケア計画を決定していきます。期間と頻度を特定すれば、具体的な費用の説明も可能になります。

まとめ

この6つのステップを正確に行うことで最大限に患者説明の効果を出すことが可能になります。患者説明で患者様の信頼を得ることができれば、ケア計画通りに通院して頂き、なにより結果に繋げることが可能になります。

また、患者説明の台本を作り、完全暗記トレーニングを行うことや、ロールプレイを行い録音や録画をして自身の患者説明を分析することで最短最速で技術向上に繋げることが可能になります。

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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