院で卒業した方の数を数えていますか|卒業の3条件【第4章 #3】

新患の数を数えている院は、たくさんあります。来なくなった方の数を数えている院は、ぐっと減ります。

そして、計画をやり切って自立していった方の数を数えている院は、ほとんどありません。

この数字には、名前すら付いていないことが多い。私たちはこれを「卒業者数」と呼んでいます。

なぜ、この数字が必要なのか

離脱率の回でお伝えしたとおり、離脱率の分子には「計画を終えて通う必要がなくなった方」が混ざっています。

この方を差し引かないと、丁寧に関わった院ほど数字が悪く出ます。

差し引くには、その人数を数えていなければなりません。つまり卒業者数は、離脱率を正しく出すための前提です。

しかしそれ以上に、この数字自体が意味を持ちます。減らす数字ではなく、増えてよい数字が、院の指標の中に1つあるということです。

多くの経営指標は「上げろ」「下げろ」のどちらかです。売上を上げる、離脱を下げる、コストを下げる。

そこに「自立して卒業していった人を、増やしていい」という数字が1つ入ると、現場の空気が変わります。

数える前に、定義を決める

卒業の判定がばらつくと、この数字は院の中で比べられなくなります。

スタッフのいる院なら、ある先生は6ヶ月をきっちり待ち、別の先生は目標達成で卒業にする。ひとりの院でも、忙しい月とそうでない月で線が動きます。

それだけで、二つの物差しができます。私たちは、3つの条件で決めています。

3つすべてが揃ったときだけ卒業とし、ひとつでも欠けていれば数えません。条件の中身そのものは、この連載では書きません。

言い換えると崩れてしまう文だからです。

3つ目が、いちばん大事です

3つのうち、1つ目と2つ目は、多くの院がすでにやっていることだと思います。省かれやすいのは、3つ目です。

なぜ「記録した」を条件に入れるのか。記録のないものを数えられるようにすると、月末の数合わせが必ず始まるからです。

「あの方はたぶん卒業だったと思う」。これを1件入れた瞬間、その月の数字は二度と検証できなくなります。

しかも一度やると、以降ずっと疑わしくなります。

判断を明示的にする。記録は、そのための仕組みです。

迷う場面を、先に決めておく

施術と経営で、言っていることが逆になっていませんか。

運用を始めると、必ず迷う場面が出ます。決めておかないと、迷った月に都合のよいほうへ寄ります。

私たちは、その場面を4つ、先に決めてあります。どんな場面かは、この連載では書きません。大事なのは、迷ってから決めないことです。

そしてもうひとつ。卒業は、通院の終わりという意味ではありません。ご自分の体を、ご自分で持って帰られた、という区切りです。

ここを取り違えると、卒業という言葉が、そのうち営業の道具に変わります。

目標値を、置かないでください

最後に、いちばん大事なことを書きます。

この数字に目標値を置かないでください。「月◯人以上」と決めた瞬間、卒業を作りにいく動機が生まれます。

見るのは「記録できているか」だけです。数値の高さを条件にしないかぎり、水増しは構造的に起きません。

そして、人の評価にも使わないでください。スタッフのいる院でも、ひとりの院で自分を採点する場合でも、使った瞬間に記録が甘くなります。

処方のための診断として扱ってください。

数え始めるのに、半年かかります

この数字には、ひとつだけ性質があります。今日カルテに記録欄を作っても、最初の卒業者が出るのは半年後だということです。

計画が6ヶ月だからです。

逆に言えば、始めるのが半年遅れると、数字が出るのは1年後になります。

記録欄は、たいてい1枚の紙で足ります。始めるのに、システムも予算も要りません。

次に読む:シリーズ 27 / 30

▶ マニュアルが10冊あっても現場は動かない|数字が1冊を選ぶ【第4章 #4】

この続きは、INSIDE OUT NUMBERS オンラインサロンで

先月、卒業された方は何人でしたか。

この記事でお伝えしたのは、卒業を数える意味と、条件が3つあること、迷う場面を先に決めておくことまでです。

3つの条件が何かと、4つの場面が何かは書いていません。

数え始めてから最初の1人が出るまでに、半年かかることもあります。早く始めるほど、早く見えます。

その問いに答えられるのは、先生の院の数字だけです。

インサイドアウト・ナンバーズオンラインサロンでやることは、3つだけです。毎月、5つの数字を打つ。

3ヶ月で、先生の院の基準線を出す。そこから、手を入れる場所を1つに絞る。むずかしい計算は、ひとつもありません。使うのは電卓だけです。

3ヶ月目、先生は「先月、卒業された方は何人でした」と答えられるようになります。最初の1人が出るまでに半年かかることもあります。

だからこそ、数え始める日が早いほど、早く見えます。

3ヶ月は、待つ時間ではありません。数えている時間です。数字は毎月しか増えませんから、始めた月が、そのまま起点になります。

来月からにすれば、分かるのも1ヶ月あとになります。

まず、今日のうちに先月の5つを出してみてください。先月の実人数、今月の新患、今月の実人数、延べ来院回数、売上。

それだけで、先生の院の1ヶ月目が終わります。手が止まったところが、いま足りていないものです。

そこから先を一緒に埋めていくのが、インサイドアウト・ナンバーズオンラインサロンです。

 INSIDE OUT NUMBERS オンラインサロンの募集ページは、現在制作中です。準備ができ次第、ご案内します。

金城 寿生

執筆者金城 寿生

1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティックに入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。

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