技術ではなく在り方が文化をつくる CAが支えるインサイドアウト健康文化

受付(CA)

CAがつくる「インサイドアウト健康文化」という未来

カイロプラクティックが目指しているものは、単に体の不調を取り除くことではありません。

それは、人が本来持っている力を信じ、その力が自然に発揮される状態を支えることです。

外から何かを与えて変えるのではなく、内側にある秩序や可能性が自ら立ち上がってくるのを待ち、整える。

この考え方は、インサイドアウト健康文化と呼ばれています。

そしてこの文化は、知識として理解されるものではありません。体験として、空気として、日常の中で「感じられる」ものです。

だからこそ、この文化を本当に根付かせるためには、技術だけでも、言葉だけでも足りません。必要なのは、日々の関わりの中で文化そのものを体現する存在です。

その中心にいるのが、カイロプラクティックアシスタント、すなわちCAなのです。CAは、ドクターの横で補助的に動く人ではありません。

院の中で最も患者様と接し、最も空気をつくり、最も文化を体現する存在です。患者様が最初に触れるのも、最後に記憶として残るのも、多くの場合CAの在り方です。

受付での一言。視線の向け方。不安そうな表情への気づき。そうした何気ない関わりの積み重ねが、「ここは安心できる場所だ」という感覚を形づくっていきます。

インサイドアウトの文化は、説明されて理解されるものではありません。感じて、体験して、いつの間にか信頼に変わっていくものです。

だからこそCAは、哲学を語る人ではなく、哲学を“生きている人”である必要があります。どんな言葉を選ぶか。どんな距離感で立つか。どんな意図で動いているか。

それらすべてが、患者様に無意識のメッセージとして伝わります。

「この院は、自分を大切に扱ってくれる」
「ここなら、安心して通い続けられる」

そう感じてもらえるかどうかは、CAの在り方に大きく左右されます。ドクターが行うケアは、体の構造や神経の働きに直接働きかけます。

一方でCAの関わりは、患者様の感情、理解、選択に影響を与えます。

この二つがそろって初めて、ケアは「体験」として完成します。どれだけ優れた技術があっても、不安や緊張が強ければ、人は本当の意味で変化できません。

ケアの前後に存在する“見えない重要な領域”

だからCAは、ケアの前後に存在する“見えない重要な領域”を担っています。

院の文化は、理念書やポスターで決まるものではありません。日々のやり取り、当たり前の行動、無意識の選択によって形づくられます。

CAは、その文化の最前線に立つ存在です。これからの時代、技術の差はますます縮まっていきます。

情報も、技術も、以前より簡単に手に入るようになりました。その中で、患者様が「ここを選び続ける理由」はどこに生まれるのでしょうか。

それは、安心感、信頼感、そして一貫した文化です。インサイドアウト健康文化を日常の中で体験できる院は、決して多くありません。

だからこそ、その文化を支えるCAの存在は、これからますます重要になっていきます。

CAは、院の雰囲気を守る人であり、患者様の安心を支える人であり、文化を未来につなぐ人です。それは、単なる仕事ではありません。在り方そのものが、価値になる役割です。

CAを目指しませんか?

CAは、受付業務をこなすための役割ではありません。

人が安心して変化していける場をつくり、健康という価値を文化として支える専門職です。

もしあなたが、誰かの人生に静かに、けれど深く関わる仕事がしたい。目立たなくてもいい。でも確かな価値を持つ存在でありたい。

そう感じたことがあるなら、CAという道は、あなたの感性と深く重なるはずです。

このシリーズを通して、CAという生き方を、あなた自身の選択肢として考えてみてください。

塩川 雅士D.C.

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

pagetop