鍼灸師としての未来に悩んでいるあなたへ:カイロプラクティックという新たな選択肢

鍼灸の道からカイロプラクティックへと転身

私は日本で最古のカイロプラクティックの学校であるシオカワスクールの講師を担当している関野貴友と申します。

私はもともと鍼灸師として施術をしていました。鍼やお灸を使い、患者さんの痛みや不調を和らげることにやりがいを感じながらも、どこか確信が持てずにいました。技術を磨けば磨くほど、症状が改善するケースもあれば、そうでないケースもある。

その違いがどこにあるのか、自分の感覚だけに頼るのではなく、もっと再現性のある技術を求めるようになったのです。

そんなときに出会ったのがカイロプラクティックでした。最初は「骨格を調整する施術」という程度の認識しかありませんでしたが、学んでいくうちにその奥深い哲学と明確な検査方法、そして的確なアジャストメントによる変化に衝撃を受けました。

「これなら、迷わずに患者さんと向き合える」と感じた瞬間を今でも覚えています。

もし今、この記事をお読みのあなたが、鍼灸師としての技術に自信が持てなかったり、治療の方向性に悩んでいたりするのであれば、私がどのようにカイロプラクティックと出会い、どんな変化を感じたのかをお伝えしたいと思います。

これは、ただの転身の話ではなく、施術家として確信を持つための一つの選択肢として、あなたの視野を広げるきっかけになれば幸いです。

鍼灸を選んだ理由と魅力

私はもともとスポーツトレーナーになりたいと思い、その手段として鍼灸を選びました。手技だけでなく、鍼やお灸を使って幅広いアプローチができる点に魅力を感じたからです。

さらに、鍼灸には開業権があり、自分の力で道を切り開いていけるというのも大きな理由でした。

鍼灸には4000年の歴史があり、多くの奇跡的な症例が報告されています。その深さや可能性に心を惹かれ、学び始めたときは「これが自分の道だ」と思っていました。

鍼灸で限界を感じた理由

しかし、実際に臨床を重ねる中で、鍼灸の持つ再現性の低さに疑問を感じるようになりました。

鍼を打つツボや深さ、角度、刺激の強さは、施術者の感覚に依存する部分が大きく、同じ技術を学んだはずの施術者でも結果が異なることが多々あります。

名人と呼ばれる人が存在する一方で、その技術を完全に再現するのは容易ではありませんでした。

例えばよく耳にする「合谷」「三陰交」「神門」などのツボがあります。名人に話を聞くと、「教科書上はここにあるけど、本当はここにあるんだよ」と感覚的な話をいただくことも多いです。

また、施術後の経過も予測しづらく、「この施術で本当に正しかったのか?」という迷いが常につきまといました。鍼灸に可能性を感じながらも、もっと確信を持って施術できる方法を探していたのです。

カイロプラクティックとの出会いと魅力

そんなとき、カイロプラクティックの世界に出会いました。

特に衝撃を受けたのは、塩川満章先生のアジャストメントでした。骨に的確にアプローチする技術の精密さ、施術後の患者の変化、そして確信を持って行われるその手技。

初めて見たとき、「これが自分が探していたものかもしれない」と直感しました。

カイロプラクティックは、症状に囚われず、根本的な原因である「サブラクセーション」を取り除くことを目的としています。

そして、それを見つけるための明確な診断基準がある。これは、感覚的な要素が強い鍼灸とは大きく異なる点でした。

カイロプラクティックを学んで感じたこと

カイロプラクティックを学び始めて驚いたのは、その施術時間の短さと効果の大きさでした。

鍼灸では、症状に応じて時間をかけることもありますが、カイロプラクティックでは、ほんの数分のアジャストメントで劇的な変化を生むことがあります。

そして、それは単なる感覚ではなく、レントゲンやナーボスコープ(体表温度測定)を用いた科学的なアプローチによって裏付けられています。

この「再現性の高さ」と「確信を持てる施術」が、自分にとって大きな価値になりました。

鍼灸とカイロプラクティックの違い

鍼灸は、患者の症状を緩和することに焦点を当てることが多いですが、カイロプラクティックは、症状の根本原因であるサブラクセーション(神経の圧迫)を取り除くことを重視します。

つまり、カイロプラクティックは「症状にアプローチする」のではなく、「体全体の神経の流れを整え、自然治癒力を最大限に引き出す」ことを目的としています。この哲学が、私にとって非常に腑に落ちるものでした。

鍼灸の経験がカイロプラクティックに活かされた点

とはいえ、鍼灸を学んだことは決して無駄ではありませんでした。

鍼灸の経験を通じて、私は患者の体全体を見る力を養うことができました。例えば、患者の表情や声のトーン、舌の状態など、細かなサインを見逃さないこと。

これらの総合的な診断力は、カイロプラクティックにおいても大きな助けとなりました。

また、体の状態を多角的に観察できることで、より的確にアジャストメント箇所の特定ができるようになりました。

鍼灸師としてカイロプラクティックを学ぶ価値

鍼灸師だからこそカイロプラクティックを学ぶことで

  • ✅根本的な原因へのアプローチができる
  • ✅再現性の高い技術で確信を持った施術ができる
  • ✅科学的な検査を活用できる

といった技術や考え方を身につけることができます。

鍼灸とカイロプラクティックを混ぜて行うことのリスク

いまでこそ私はカイロプラクティック一本で患者様を担当していますが、過去には鍼灸と混ぜていいところを取捨選択していこうと考えていました。

ですがそれでは患者様の治る力を引き出すという目的よりも、早く効率よく患者様を「良くしたい」という施術者のエゴが存在しています。

カイロプラクティック哲学においては、カイロプラクティックは患者の症状を良くすることというのは私たち施術者にはできません。患者様が持つ自然治癒力(イネイトインテリジェンス)が患者様自身の体を癒すのです。

そうなったときに、鍼もしてカイロもしてとなると、その素晴らしい力を超えようとしてしまうというリスクが起こります。

自然の回復スピードをいわば早送りのようにした時の身体の負荷は計り知れません。そういったカイロプラクティック哲学を学んでから、その考え方に共感しカイロプラクティックを選んだのです。

今後の展望と伝えたいこと

私は、今後もっと多くの鍼灸師にカイロプラクティックの魅力を知ってもらいたいと思っています。

決して「鍼灸を捨てる」ということではなく、カイロプラクティックの哲学や技術を学ぶことで、新たな視点を持つことができるということ。

もし今、

✅施術に確信が持てず、不安を感じている
✅もっと再現性のある技術を身につけたい
✅患者の健康をより深いレベルでサポートしたい

そう感じているなら、ぜひ一度カイロプラクティックに触れてみてほしいと切に願います。

私は、この学びを通じて、自分の施術に確信を持つことができるようになりました。そして、今まで以上に患者の健康に貢献できるという実感があります。

不安を乗り越え、確信を持って施術できるようになるために。鍼灸師だからこそ、カイロプラクティックを学ぶ価値があると私は考えます。

関野 貴友

執筆者関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

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