トムソン・テクニックの歴史|日本への扉を開いた1975年の出会い

このブログでは「なぜトムソンテクニックなのか」「何がこのテクニックを特別にしているのか」を、誰よりも深く理解してもらえるようにお伝えしていきます。

このシリーズのすべての始まりとなる、一つの出会いの話から始めます。

ガンステッド・テクニック一辺倒だった青年が感銘を受けた日

僕の父、塩川満章D.C.は、若い頃はガンステッド・テクニック一本でやってきた人でした。

ガンステッド・テクニックというのは、レントゲン分析・触診・神経計測を組み合わせて、サブラクセーション(脊椎のずれによる神経圧迫)を精密に特定してアジャストメントを行うテクニックです。

創始者のDr.クリアランス・ガンステッドは、アメリカ中西部の人口3000人の小さな町に世界最大のカイロプラクティッククリニックを作り、世界中から患者が訪れるほどの存在でした。

父はパーマー大学在学中から弟子入りし、卒業後はサンディエゴでさらに修業を重ねました。ガンステッド・テクニックこそが最高のテクニックだと、心から信じていたそうです。

その後、父は南米ベネズエラへ渡り、現地で南米初のカイロプラクティッククリニックを立ち上げます。テレビや新聞にも取り上げられるほど活躍し、約1年後に帰国の途につきました。

その帰り道に、すべてが変わる出来事が起きます。

「このテクニックを日本に」 その場での直談判

帰国途中、父は母校であるパーマーカイロプラクティック大学に立ち寄りました。ちょうどその時、卒後教育として少人数のセミナーが開かれていました。

Dr.クレイ・トムソンによる、トムソンテクニックのセミナーです。

「今まで受けたことのないテクニックのセミナーだったので、どのようなものか、とても興味があった」と父は語っています。

セミナーの中でDr.トムソンはこう説明したそうです。

「これは、ニュートンの慣性の法則を利用したトムソン・ターミナルポイントテーブルを使用して、患者の体重とドロップメカニズムによって、最小限の力で、最も安全に脊椎及び骨盤、四肢、顎関節などをアジャストメントする素晴らしいテクニックです」

慣性の法則。物体は力を加えられない限り、静止または等速直線運動を続けようとする、あのニュートンの法則です。

カイロプラクターが患者の椎骨に短く鋭い力を加える瞬間、テーブルのドロップピースが落下する。

術者の力とテーブルのドロップが生み出す「第二の力」によって、脊椎が正確にアジャストメントされる。

つまり、術者が無理に大きな力を入れる必要がない。患者の体重そのものが、アジャストメントの力として機能するのです。

父はこのメカニズムに深く感銘を受けました。ガンステッド・テクニックは精密ですが、習熟に長い年月を要し、術者の体力も問われます。

一方、トムソンテクニックは物理的な機構を活用するため、最小限の力で安全にアジャストメントできる。

しかもそれは、ガンステッド・テクニックが追い求めてきた「サブラクセーションを正確にアジャストメントする」という目的と完全に一致していました。

セミナーが終わると、父はDr.トムソンに直接声をかけます。

「ぜひ、日本でセミナーを開かせてください」

Dr.トムソンは快く承諾してくれました。この一瞬の決断が、日本のカイロプラクティックの歴史を変えることになります。

トムソンテクニックは「技術」ではなく「思想」だった

1973年、日本での第1回トムソンテクニックセミナーが実現しました。ガンステッド・テクニックの創始者の弟・Dr.マートン・ガンステッドも同行してくれた、歴史的な来日でした。

この体験について、父はこう語っています。

「カイロプラクティックには哲学が必要なことを、ドクター・トムソンを通じて知ったのは、私のカイロプラクティックの人生で大きな宝となり、かつ私の精神的な力になった」

僕がこの言葉を大切にしているのは、トムソンテクニックが単なる「テクニック」ではないからです。

B.J.パーマーが確立したカイロプラクティックの哲学、インサイドアウト、イネイト・インテリジェンス、人間が本来持つ自然治癒力と深く結びついた、思想としてのテクニックなんです。

ガンステッド・テクニックで技術の精度を磨き、世界を渡り歩き、南米で臨床を積んだ末に、父はトムソンテクニックの本質を受け取れる状態にあった。

技術と哲学の両方を理解できる土台があったからこそ、この出会いが「運命」になったのだと思います。

トムソン・テクニック教室

歴史と出会いの物語から始まり、Clay Thomsonという人物の素顔、テクニックの概要と重要性、そして臨床の実際まで。

技術の細かい手技はトムソン教室でお伝えしますが、このブログでは「なぜ」「何が」「誰が」という部分を徹底的に掘り下げていきます。

カイロプラクターとして学んでいる方にも、カイロプラクティックに興味を持ち始めた方にも、読んでよかったと思ってもらえるシリーズにしていきます。

塩川満章D.C.が直接Clay Thomsonから受け継いだトムソンテクニックを、シオカワスクールで学びませんか。

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塩川 雅士D.C.

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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