カイロプラクティック・アシスタント(CA)とは何者かー信頼を担うもう一人の専門職

受付(CA)

ケアの現場に「在り方」という基準をもたらす存在

カイロプラクティック・アシスタント(CA)とは、何者なのか。この問いに、ひとことで答えることはできません。

なぜならCAは、肩書きや業務内容だけで定義できる存在ではないからです。

CAとは、ケアの現場に「人としての在り方」という基準をもたらす存在です。

CAは役職ではなく「立ち位置」である

CAを「受付スタッフ」「アシスタント」「サポート役」と説明することはできます。

しかしそれらは、CAが“何をしているか”を表した言葉にすぎません。

CAの本質は、その場にどう立っているか、人とどう向き合っているかにあります。

CAは、前に出て導く存在でも、後ろから支える存在でもありません。

場の中心で、在り方を示す存在それがCAです。

CAが守っているのは「人の尊厳」

ケアの現場では、人は少なからず不安や迷いを抱えています。

そのとき人は、誰かに決めてほしくなったり、正解を与えてほしくなったり、自分の感覚を疑ってしまいます。

CAは、この瞬間に“何かをする”存在ではありません。

CAが守るのは、「この人は、自分で選べる存在である」という前提そのものです。

判断を奪わない。
選択を急がせない。
不安を操作しない。

その姿勢こそが、CAの最も重要な役割です。

CAは「正しさ」より「信頼」を優先する

CAは、正しいことを言う存在ではありません。間違いを指摘する存在でもありません。

CAが優先するのは、この場が信頼に足るかどうかただそれだけです。

人は、信頼できる場に身を置いたときに初めて、自分の内側と向き合い、自分の選択に責任を持てるようになります。

CAは、その信頼が生まれる前提条件を崩さない存在なのです。

CAは文化の「基準点」になる

CAが一貫した在り方で立ち続けると、院には目に見えない変化が起こります。

慌ただしさが落ち着きに変わり、指示待ちが主体的な動きに変わり、不安が対話へと変わっていきます。

これはルールを増やしたからでも、管理を強化したからでもありません。

人との向き合い方に“基準”が生まれたからです。

CAは、その基準を日々体現する存在です。

CAとは「ケア文化を生きる人」

CAとは、役割ではなく生き方です。ケアの哲学を言葉で語るのではなく、日常の中で当たり前として生きる。

人を変えようとせず、人を信じ続ける。

CAは、ケア文化そのものを生きる人だと言えるでしょう。

CAを目指しませんか?

CAは、目立つ仕事ではありません。

しかし、人の尊厳を守り、信頼を積み重ね、文化を未来へつないでいくとても責任のある仕事です。

もしあなたが、人を操作したくない、答えを押しつけたくない、安心できる場をつくる側に立ちたい。

そう感じたことがあるなら、CAという在り方は、あなたの価値観と深く重なるかもしれません。

このシリーズでは、CAという存在がなぜ必要なのか、そして接遇がどのように文化になるのかを丁寧に言葉にしていきます。

CAという生き方を、あなた自身の選択肢のひとつとして考えてみませんか?

塩川 雅士D.C.

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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