なぜアメリカではCAが“専門職”なのかーカイロプラクティック文化の土台を担う存在

受付(CA)

アメリカにおけるカイロプラクティック・アシスタントという存在

CAは“補助職”ではなく、ケア文化を支える専門職であるカイロプラクティック・アシスタント(CA)という役割は、日本ではまだ十分に知られているとは言えません。

一方で、カイロプラクティック発祥の地であるアメリカでは、CAは長年にわたり専門職として確立された存在として位置づけられてきました。

そこではCAは、「先生を手伝う人」でも「受付業務をこなす人」でもありません。ケアの質と文化を守るために不可欠な専門職それが、アメリカにおけるCAの立ち位置です。

アメリカでは、CAは“育成される職業”である。アメリカの多くのカイロプラクティッククリニックでは、CAは場当たり的に採用される存在ではありません。

・体系化された教育プログラム
・段階的なスキル評価
・役割ごとの明確な責任範囲
・継続的な学習とアップデート

これらを前提として、「育成される職業」として扱われています。なぜそこまで教育に力を入れるのか。それは、CAの在り方ひとつで院全体の信頼・雰囲気・継続率が大きく変わることを現場がよく理解しているからです。

アメリカでは、CA教育は“時間をかけて学ぶもの”、CAを対象とした教育が大学の専門教育機関で行われています。内容は決して短期的な研修ではありません。

プログラムによって差はありますが、

・数百時間規模の座学・実技教育
・数ヶ月〜1年以上にわたる履修期間
・医療現場に準じた倫理・責任教育
・ケア哲学・患者対応・院運営理解

こうしたカリキュラムを通じて、CAとしての在り方そのものを学ぶ構成になっています。

これは、CAが単なる業務要員ではなく、ケアの質を左右する専門的ポジションであるという前提があるからこそ成立している教育です。

ケアの質は「技術」だけで決まらない

アメリカのカイロプラクティック教育では、はっきりと共有されている前提があります。それは、ケアの質は、ドクターの技術だけでは完成しないという考え方です。

・安心して通えるか
・自分の状態を正しく理解できるか
・継続してケアを受ける選択ができるか

そのすべてに、CAの関わり方が深く影響しています。だからこそCAは、単なる業務担当者ではなく、ケア体験を構成する重要な担い手として扱われているのです。

CAは「ケア文化の翻訳者」

アメリカのCAに求められている役割のひとつが、ケアの考え方や価値観を“日常の中に落とし込む存在”であることです。

専門的な思想や哲学を、難しい言葉で説明するのではなく、日々の関わりや院での体験を通して自然に伝えていく。

それによって、者様は「理解しよう」と努力しなくても、ケアの価値を感覚として受け取ることができます。CAは、ケア文化を生活レベルに翻訳する存在とも言えるでしょう。

なぜアメリカではCAの価値が高いのか

アメリカでは、CAが長く働き続けるケースも珍しくありません。それは、CAという役割が誇りを持てる、成長実感がある、院の中で明確な価値を持っている、そうした職業として認識されているからです。

CAは、院の“空気”を守り、患者様の“安心”を支え、文化の“一貫性”を保つ存在。その重要性が、教育と評価の仕組みを通じて正しく位置づけられています。

日本に、これから必要とされるCA像

日本でも今、技術だけでは差別化できない時代に入っています。だからこそ、「どんなケアをしているか」だけでなく、「どんな空気の中でケアを受けられるか」が問われるようになってきました。

その中心に立つのが、CAという存在です。アメリカで長年育まれてきたCAという職業の価値は、これから日本でこそ、本格的に必要とされていくはずです。

CAを目指しませんか?

カイロプラクティック・アシスタントは、補助的な仕事ではありません。ケアの質を支え、文化を守り、信頼を積み重ねていく専門職です。

もしあなたが、

・人の人生に長く関わる仕事がしたい
・安心できる場をつくる側に立ちたい
・ケアの価値を“文化”として広げたい

そう感じたことがあるなら、CAという道は、あなたの価値観と深く重なるかもしれません。このシリーズでは、CAという存在の本質と、その役割がなぜ重要なのかを丁寧に言葉にしていきます。CAという生き方を、あなた自身の選択肢のひとつとして考えてみませんか?

塩川 雅士D.C.

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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