治療家は、体の回復力をどこまで信じているか ― 治療家が知らずに遠ざけている“本来の力”

治療家が“手を出しすぎてしまう”本当の理由

治療家として臨床に立っていると、ふと、こんな瞬間がありませんか。

「今回は、特別なことをしたわけではないのに良くなった」
「ほとんど触れていないのに、体が大きく変化した」
「むしろ、何もしなかった時の方が反応が良かった」

この経験は、決して偶然ではありません。そこには、治療という仕事の本質に関わる、重要なヒントが隠されています。

体は、常に“回復の方向”へ向かっている

私たちは日常的に、「治す」「改善する」「回復させる」という言葉を使います。

しかし、冷静に体の働きを観察してみると、実は体は何かをしなくても、常に回復の方向へ向かっていることが分かります。

・傷ができれば、自然に塞がる
・発熱は、免疫反応として起こる
・炎症は、修復のプロセスとして起こる

これらはすべて、体が「正しく反応している証拠」です。

症状とは、敵ではありません。多くの場合、それは、「今、この状態では無理がかかっています」という、体からのサインに過ぎないのです。

症状を“悪”と捉えた瞬間に起こること

治療家が無意識に陥りやすい罠があります。

それは、症状=悪いもの、取り除くべきものと決めつけてしまうことです。

この見方に立った瞬間、治療は「体と戦う行為」へと変わります。

・痛みを消す
・反応を抑える
・出ているものを止める

一時的に症状が消えることもあるでしょう。しかし、その奥で体が何をしようとしていたのかを理解しなければ、本質的な回復にはつながりません。

体は、理由なく反応することはありません。すべての反応には、意味があります。

なぜ体は、あなたが何もしなくても回復するのか

その答えは、非常にシンプルです。体は、あなたよりも先に“回復の方法”を知っているからです。

私たちが学ぶ解剖学・生理学・神経学は、すべてこの事実を裏付けています。

・恒常性(ホメオスタシス)
・神経系による統合と調整
・環境への適応能力

体は、常に全体のバランスを取りながら、最善の選択を積み重ねています。

治療家がやるべきことは、その働きを邪魔しないこと、そして必要以上に介入しないことです。

治療家が“やりすぎてしまう”本当の理由

では、なぜ私たちは、つい手を出しすぎてしまうのでしょうか。それは、多くの場合、不安からです。

・何かしなければいけない
・結果を出さなければ評価されない
・自分の存在価値を示さなければならない

この不安が、本来不要な介入を生み出します。

しかし皮肉なことに、治療家の不安が強いほど、患者様は体を委ねることができなくなります。体が回復するために必要なのは、刺激よりも、安心と信頼であることが多いのです。

回復は「起こすもの」ではなく「起こるもの」

回復は、治療家が起こすものではありません。回復は、体の内側で自然に起こる現象です。

治療家の仕事は、その現象が起こりやすい環境を整えること。

・体が正しく情報を受け取れる状態にする
・防御反応が過剰にならないようにする
・本来の秩序に戻るきっかけをつくる

この視点に立ったとき、治療は「操作」ではなく、対話へと変わります。

治療家の仕事は、体の力を“信じ切ること”

技術を磨くことは大切です。
知識を深めることも必要です。

しかし、それらの土台にあるべきものは、体が本来持っている力への絶対的な信頼です。治療家が体を疑っている限り、体は本当の意味で力を発揮することはありません。

信じるとは、放置することではありません。任せきることでもありません。正しく理解し、正しい距離で関わることです。

治療家としての本質を、どこで学ぶのか

シオカワスクールでは、「何をするか」よりも先に、「体をどう見ているのか」を問い続けます。

・なぜ症状が必要なのか
・なぜ体は回復しようとするのか
・治療家はどこまで関わるべきなのか

これらを、理論だけでなく、臨床の中で体感しながら学んでいきます。

もしあなたが、

  • もっと深いレベルで体を理解したい

  • 技術に振り回されない治療家になりたい

  • 体の力を信じ切れる臨床をしたい

 

そう感じているなら、一度、シオカワスクールのセミナーを体験してみてください。

治療家としての本質を、ここで学んでみませんか。

塩川 雅士D.C.

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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