接遇が守るべきもの ― カイロプラクティック・アシスタントがつくる「選べる状態」

受付(CA)

人は行動の前に「状態」で生きている

人は常に、理性で行動しているわけではありません。何を選ぶか、どう振る舞うか、その前に必ず「今、自分はどんな状態にあるか」という土台があります。

落ち着いているのか、緊張しているのか、守られていると感じているのか、評価されていると感じているのか。

行動は、その状態の“結果”として表に現れてくるものです。

カイロプラクティックアシスタント(CA)として現場に立つとき、向き合っているのは行動そのものではなく、行動が生まれる前段階の「人の内側の状態」です。

これは一般的な受付のお仕事やCA 仕事内容の枠を超えた、スタッフとしての重要な役割でもあります。

行動を変えようとすると状態は硬くなる

現場では、無意識のうちに「こうしてください」「こちらが正解です」と行動を整えようとする場面が生まれます。

しかし人は、行動を修正されるほど、自分の内側を守ろうとして状態を硬くします。

その瞬間、安心は遠のき、選択は止まり、相手は“従っているように見える状態”になります。

CAが大切にすべきなのは、正しい行動を引き出すことではなく、自ら考えられる状態を壊さないことです。

選択は「余裕のある状態」からしか生まれない

人が自分で選べるのは、心に余裕があるときだけです。急かされていない、否定されていない、判断を委ねても責められないと感じている。

そうした状態が整ってはじめて、人は自分の感覚に耳を澄ませることができます。

CAが整えているのは、選択肢そのものではなく、選択が自然に立ち上がるための空気です。

CAの仕事は「何をするか」を決めない

CAは、患者様に行動を促す存在ではありません。決断を急がせることも、理解を押し付けることも、本質的な役割ではありません。

CAの役割は、患者様が「自分のペースで考えていい」と感じられる状態をそっと保ち続けることです。

言葉を足すより、間を保つこと。説明するより、相手の反応を待つこと。その判断は、マニュアルではなく、相手の“今の状態”を感じ取る感性から生まれます。

状態が整うと行動は自然に整う

不思議なことに、状態が整った人は、誰かに指示されなくても、自分で必要な行動を選び始めます。

安心している人は、質問ができ、納得している人は、継続を選びます。

CAが何かをさせなくても、「この場なら大丈夫」という感覚があれば、行動は自然と伴ってくるのです。

CAは、行動を管理する存在ではなく、行動が自然に生まれる“土壌”を守る存在です。

状態を尊重されると人は戻ってくる

人は、自分の状態を尊重してもらえた場所を忘れません。

たとえすぐに答えが出なかったとしても、「ここでは急かされなかった」「自分の感覚を大事にしてもらえた」その記憶は、次の選択のときに必ず戻ってきます。

院のファンは、満足度の高さではなく、状態を守られたかどうかの積み重ねです。CAが支えているのは、目の前の対応ではなく、患者様が自分を信じ続けられる感覚そのものです。

状態を守る接遇は文化になる

行動を整えない接遇が積み重なると、院全体に独特の空気が生まれます。押し付けがなく、評価がなく、常に余白がある空気。

その空気は言葉にしなくても伝わり、人は自然と心を開きます。

これは個人技ではなく文化です。そして文化は、誰かが意識し続けなくても再現されるようになったとき、初めて本物になります。

CAは、その文化を現場で守り続ける存在であり、インサイドアウト健康文化を日常で体現する役割を担っています。

CAを目指しませんか?

人の行動を変える仕事ではなく、人が自分に戻れる状態を守る仕事に価値を感じますか。

急がせず、操作せず、安心が自然に流れる場を支えたいと思いますか。

もしそうであれば、CAという在り方は、あなたの感性と深く重なるはずです。行動ではなく状態を整える。その静かな力こそが、これからの時代に求められる接遇であり、CAという生き方です。

あなたも、この文化を支える一人として、CAを目指してみませんか。

塩川 雅士D.C.

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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