主体性を引き出す接遇 ― カイロプラクティック・アシスタントが守る選択の環境

受付(CA)

人は本来「選びたい存在」である

人は誰かに決められるよりも、自分で選びたい存在です。これは性格や価値観の違いではなく、人が本来持っている根源的な欲求と言えます。

日常の小さなことから人生の大きな決断まで、「自分で選んだ」という感覚があるかどうかで、その後の納得度や継続力は大きく変わります。

反対に、どれほど正しい選択であっても、「選ばされた」と感じた瞬間、その行動は義務となり、心は離れていきます。

ケアの現場でも同じことが起きています。カイロプラクティックアシスタント(CA)が関わる接遇の本質は、この「自分で選びたい」という人間の本能を守ることにあります。

インサイドアウト健康文化とは、外から行動を変えようとするのではなく、本人の内側から「選びたい」という力が自然に働く環境を整える文化です。

選択が奪われると、人は防御に入る

人が選択できない状態に置かれると、無意識に防御反応が起こります。説明が一方的に続く、結論が先に提示される、今すぐ決めることを求められる。

そうした状況では、人は内容を理解する前に「守る姿勢」に入ります。選択肢がないと感じた瞬間、心は閉じ、納得よりも回避を選ぶようになります。

リピートしない、続かない、信頼が育たない。その多くは、選択の余地が守られていなかったことに起因しています。これは、接遇の重要性や患者満足度の向上 を考えるうえでも重要な視点です。

選択は「考えさせること」ではない

選択を尊重するというと、「よく考えて決めてください」と促すことだと誤解されがちです。しかし、それは選択を委ねているようで、実は責任を投げている状態でもあります。

本当の選択とは、相手が無理なく自分の感覚に戻れる状態で生まれます。考えさせることではなく、感じられる状態を整えること。

そのために必要なのが、安心と信頼の土台です。選択は、頭ではなく、落ち着いた心の中から自然に立ち上がります。

CAが守るべき「選択の余白」

CAの役割は、選択を促すことではありません。選択が可能な状態を壊さないことです。言葉を重ねすぎない、結論を先回りしない、沈黙を急がない。そうした姿勢が、相手にとっての余白になります。

余白とは、何もしていない時間ではなく、相手が自分自身の感覚に触れるための静かな空間です。CAがその余白を尊重していると、相手は自然と「自分はどうしたいか」に意識を向け始めます。

選択が生まれたとき、行動は変わる

人は、自分で選んだ行動に対して責任を持ちます。納得して選んだ選択は、途中で揺らいでも戻る場所になります。

反対に、選ばされた行動は、少しの不安や違和感で簡単に手放されます。ケアの継続も同じです。続いている人は、説得された人ではなく、自分で選んだ人です。

接遇が選択を支える構造を持っているとき、患者様は院のファンになり、リピートは結果として自然に生まれていきます。

選択を尊重する文化が院を支える

選択が尊重されている院では、患者様だけでなく、スタッフも主体性を持って働いています。指示を待つのではなく、自分で考え、判断し、行動する。

その姿勢は、院全体の空気を健やかなものに変えていきます。選択を尊重する文化とは、自由放任ではありません。安心と信頼の中で、自分の責任として選ぶことを大切にする文化です。

そして、そのインサイドアウト健康文化を日常で体現する存在が、CAなのです。

CAを目指しませんか?

人の人生に関わる場で、本当に価値のある仕事とは何でしょうか。それは、誰かの代わりに決めることでも、強く導くことでもありません。

人が自分で選び、納得し、前に進むための環境を守ること。その中心に立つのがCAという存在です。

もしあなたが、人の選択を尊重し、長く信頼される関係性を支えたいと感じるなら、CAという道はあなたの価値観と深く重なるはずです。

選択が生まれる瞬間を支える存在として、CAという生き方を未来の選択肢に加えてみませんか。

塩川 雅士D.C.

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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