接遇の定義と目的ーなぜCAに接遇が求められるのか

受付(CA)

なぜカイロプラクティック・アシスタント(CA)に接遇が求められるのか

私たちは普段、「接遇」という言葉をマナーや感じの良さ、丁寧な対応として捉えてしまいがちです。

笑顔で挨拶をする、言葉遣いを整える、失礼のない振る舞いを心がける。

それらは確かに大切です。しかし、それだけが接遇の本質ではありません。

接遇とは、人の心が「安心できる状態」に戻るための土台を整える行為です。

カイロプラクティックのケアは、外から何かを与えて変えるものではありません。本来内側に備わっている力が、正しく働ける状態へ戻ることを支えます。

だからこそ、ケアが始まる前の空気、関わる人の在り方、その場に流れる緊張や安心感が結果に大きく影響します。

どれほど正確なケアが行われても、患者様の心が緊張したままであれば、身体は本来の反応を起こしにくくなります。

接遇の目的とは、患者様を「納得させること」でも「喜ばせること」でもありません。

自分で選び、
自分で委ね、
自分で向き合える状態へ戻ること。

その環境を整えることが、接遇の本質的な目的です。CAに接遇が求められる理由は、ここにあります。

CAは、ケアを行う人ではありません。しかし、ケアが成立する土台を最も近くで支える存在です。

・院に入った瞬間の空気
・声をかけられたときの安心感
・説明を受ける前の緊張のほどけ方

それらはすべて、CAの在り方によって決まります。

相手が自分自身に戻れる余白をそっと用意する行為

接遇とは、相手をコントロールするための技術ではなく、相手が自分自身に戻れる余白をそっと用意する行為です。

その余白があるからこそ、患者様は話を聞こうとし、通い続ける選択をし、ケアを自分の人生の一部として受け取ることができます。

つまり接遇とは、信頼を「つくる」ものではなく、信頼が生まれる状態を壊さないための哲学です。

CAに求められるのは、完璧な言葉や動きではありません。どんな場面でも、相手の内側の選択を尊重し、安心を奪わない在り方を選び続けることです。

それができる人が、CAとして本当に価値を持ちます。

接遇を学ぶとは、振る舞いを覚えることではありません。人の心と向き合う姿勢を自分自身の中に育てていくことです。

このシリーズでは、接遇を「作法」ではなく「信頼を生む哲学」としてひとつずつ紐解いていきます。

CAを目指しませんか?

CAは、表に立たない仕事かもしれません。しかし、院の信頼と空気を最も深く支えている存在です。

人が安心して自分に戻る瞬間にそっと寄り添う役割。ケアの価値を、文化として未来へつないでいく役割があります。

もしあなたが、人を変えたいのではなく人が戻る場をつくりたいと感じるなら。CAという選択は、あなたの在り方そのものを仕事にできる道かもしれません。

塩川 雅士D.C.

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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