ケアの質を決める最初の接点 ―カイロプラクティック・アシスタントの在り方の影響

受付(CA)

人は言葉より先に在り方を受け取っている

患者様が院に足を踏み入れた瞬間、最初に触れているのはケアそのものではありません。

身体に触れる前、説明を聞く前、検査を受ける前に、患者様はすでに「この場所は自分にとって安全かどうか」を感じ取っています。

そしてその判断材料の中心にあるのが、カイロプラクティックアシスタント(CA)の在り方です。

言葉を交わす前、挨拶をする前、視線が合うより前に、空気、距離感、立ち姿、場の静けさや流れを通して、患者様は無意識にここに身を委ねても大丈夫かどうかを決めています。

これこそが、CAの仕事の中でも最も目に見えにくく、しかし最も重要な役割です。

安心や信頼は説明や会話によって生まれるものだと考えがちですが、実際にはその前段階で大きく方向が決まっています。

声をかけられる前の立ち位置、視線の高さ、動きの速さ、近づき方、空間の使い方。

それらが無言のメッセージとして患者様に届き、「この人は急かしてこない」「この場では自分のペースでいられる」と感じられたとき、初めて心が緩み始めます。

CAの在り方とは、言葉で何かを伝えることではなく、言葉を必要としない安心を先に渡している状態そのものなのです。

受付は情報の窓口ではなく状態の入口

院での受付の仕事は、単なる案内や手続きの役割ではありません。受付は患者様にとって院という世界に入る最初の接点であり、その瞬間の体験がその後のケア全体の印象を大きく左右します。

ここで説明が丁寧だったかどうかよりも、「ここで自分はどう扱われたと感じたか」「ここで緊張が増したか減ったか」という感覚の方が記憶に残ります。

CAが整えているのは情報の正確さ以上に、患者様が自分の感覚に戻れる入口なのです。

CAは緊張を解くのではなく緊張が生まれない状態を守っている

CAの仕事は、不安になった患者様を励ましたり、緊張している人をなだめたりすることではありません。そうした対応が必要になる前に、そもそも過度な緊張や不安が生まれない状態を保つことが本質です。

動線が整理されていること、待つ時間が穏やかであること、説明されなくても次に何が起こるかがなんとなく分かること。それらすべてが患者様の内側の状態を安定させ、結果としてケアに集中できる準備が整います。

これは、スタッフとして現場を支える重要な専門性であり、同時にインサイドアウト健康文化を体現する実践でもあります。

ケアの質は最初に触れた在り方によって深さが変わる

同じケアが行われていても、その前段階でどのような状態に置かれていたかによって、受け取り方も結果も変わります。

安心して身を委ねられる状態で受けるケアと、不安や警戒を抱えたまま受けるケアとでは、身体の反応だけでなく納得感や信頼の深まり方も異なります。

CAが最初に渡しているのは説明ではなく、「委ねてもいい」という感覚です。その感覚があるからこそ、患者様はケアを自分の選択として受け取ることができます。

CAの在り方は、ケアの入口であり、ケアの深さを決める静かな起点なのです。

CAを目指しませんか?

誰かを説得する仕事ではなく、誰かが自然に委ねられる状態を守る仕事に価値を感じますか。言葉で導くよりも、在り方で安心を伝えたいと思いますか。

ケアの質を高めるために、ケアの前にある空気や流れを大切にしたいと感じるなら、カイロプラクティックアシスタントという役割はあなたの感性と深く重なるはずです。

患者様が最初に触れている存在として、安心の入口を守り続ける。その静かな責任と誇りを担う生き方を、あなたも選んでみませんか。

塩川 雅士D.C.

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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