「治す」のではなく「治る」を支える ― カイロプラクティック・アシスタントの重要な役割

受付(CA)

「治る=何かをしてあげること」という誤解

一般的に「治る」という言葉は、疲れを取ってあげること、楽にしてあげること、安心させてあげることといった“外から与える行為”として捉えられがちです。

しかしカイロプラクティックの哲学における治るは、その考え方とは大きく異なります。

治るとは、誰かが与えるものではなく、本来その人の内側に備わっている回復の力が自然に働ける状態に戻っていくプロセスです。

外から何かを足すのではなく、妨げているものを取り除き、本来の働きが発揮される余白を整えること。

そこにこそ、カイロプラクティックが考える治るの本質があります。

この考え方こそが、インサイドアウトの中心にある価値観です。

健康とは外から作るものではなく、内側から立ち上がる力が自然に発揮される状態を取り戻すことなのです。

回復は「起こすもの」ではなく「起きるもの」

人の身体や心は、本来とても賢く、環境が整えば自然とバランスを取り戻そうとします。

無理に変えようとしたり、急がせたりすると、その働きはかえって鈍くなってしまいます。

カイロプラクティックにおけるケアは、回復を起こそうとする行為ではありません。

回復が起きやすい状態を静かに支える行為です。この考え方は、接遇にもそのまま当てはまります。

患者様を安心させようと頑張るほど、逆に緊張を生んでしまうことがあるのは、人がコントロールされることに敏感だからです。

治るとは、働きかけることよりも、干渉しすぎないことによって生まれます。

「安心」が整うと、回復は自然に動き出す

治るの土台にあるものは、安心です。安心とは、説明されたから感じるものではなく、身体が無意識に感じ取る感覚です。

ここにいても大丈夫、急がされない、否定されない。その感覚が整ったとき、人はようやく自分自身の内側に意識を向けることができます。

CAの存在は、この安心を日常の中で形づくる役割を担っています。

言葉の量ではなく、空気感や一貫した態度によって、患者様の内側に余裕を生み出していきます。

その余白こそが、回復のスイッチが入る入口になります。これは、インサイドアウトを現場で支える最も重要な実践です。

CAは「癒しを起こさない」からこそ価値がある

CAは、患者様を治そうとする存在ではありません。むしろ、治る力が自然に起きる環境を壊さない存在です。

説明しすぎない、誘導しすぎない、結論を急がせない。その姿勢は一見すると何もしていないように見えるかもしれません。

しかし実際には、最も繊細で高度な役割を担っています。

癒しを“演出”しないことが、結果として深い信頼と回復を支えることにつながっていきます。

CAは、ケアの主役ではなく、ケアが本来の力を発揮できる舞台を整える専門職なのです。

外から与えないからこそ、長く続く回復が生まれる

一時的な安心やその場限りの満足は、外から与えることで簡単につくることができます。

しかし、それは持続しません。内側から立ち上がった安心や納得は、人の中に残り、次の選択へとつながっていきます。

カイロプラクティックが目指しているのは、通わせ続けることではなく、患者様自身がケアの価値を理解し、自ら選び続けられる状態です。

その基盤となるのが、外から与えない癒しの考え方であり、それを日常の中で支えているのがCAの存在です。

CAを目指しませんか?

CAは、癒しを提供する仕事ではありません。癒しが自然に起きる環境を守り続ける仕事です。

人の内側にある力を信じ、急がせず、奪わず、余白を残す。その在り方そのものが、インサイドアウト健康文化を現場から社会へ広げていく力になります。

もしあなたが、人を変えようとするよりも、人が自分自身に戻っていく過程に寄り添いたいと感じるなら、CAという役割はあなたの感性と深く響くはずです。

CAという選択を、あなた自身の未来のひとつとして考えてみませんか。

塩川 雅士D.C.

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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