なぜカイロプラクティック・アシスタントの仕事は代替できないのか ― 小さな選択が文化をつくる

受付(CA)

CAの一日は劇的な出来事ではなく、連続する小さな選択でできている

カイロプラクティックアシスタント(CA)の一日は、成功やトラブルといった分かりやすい出来事で構成されているわけではありません。

大きな判断や派手な成果が表に出ることもほとんどありません。

けれど実際には、声のトーンを少し落とすかどうか、視線を一瞬外すかどうか、言葉をすぐに返すか間を待つかといった、無数の小さな選択が絶えず積み重なっています。

その一つひとつは取るに足らないように見えますが、その積み重ねこそが院全体の空気を形づくり、患者様が「ここは安心できる場所だ」と感じる理由になっています。

CAの一日は、目に見えない判断の連続によって、静かに文化を更新し続けているのです。

なぜCAの仕事は他の誰かで代替できないのか

CAの仕事が代替できない理由は、業務内容が特殊だからではありません。

受付や案内や説明といった行為そのものは、表面だけ見れば一般的な治療院での受付業務として他の誰かが担うこともできるでしょう。

しかし、CAの仕事本質は作業ではなく、「場の状態を感じ取り続ける責任」にあります。

今、この空気は張りつめているのか、緩んでいるのか、誰かが言葉にできない不安を抱えていないか。

その微細な変化を感じ取り、自分自身の在り方をその都度調整する判断は、マニュアル化することができません。

それは知識や技術だけで成立するものではなく、その人自身の感受性と誠実さによって支えられています。

だからこそ、CAの仕事にはスタッフとしての役割を超えた専門性が存在するのです。

文化は意図した瞬間ではなく、無意識の選択で育つ

理念を語る瞬間や、指導を行う場面は確かに重要です。しかし文化に最も強い影響を与えているのは、そうした「意図した時間」ではありません。

むしろ、日常の何気ない対応や、誰も見ていない時間の振る舞いこそが、文化の質を決定づけています。

急がされていないか、押し付けになっていないか、自分の都合で場を動かしていないか。CAは、そうした無意識の選択が積み重なる領域に最も長く立ち続ける存在です。

その立ち位置にいるからこそ、院がどの方向へ進んでいくのかを、静かに、しかし確実に形づくっています。

これは、外側から行動を整えるのではなく、内側の在り方から文化を育てていくインサイドアウト健康文化の実践そのものです。

特別なことが起きていない一日こそ文化が更新されている

問題が起きず、誰も感情を荒らさず、患者様が自然に帰っていく一日は、外から見ると「何も起きていない日」に見えるかもしれません。

しかし実際には、そのような一日こそが、文化が最も健全に更新されている状態です。

安心が乱れず、信頼が揺らがず、場が静かに機能し続けているということは、目立たない無数の判断が正しく積み重なった結果です。

CAは、その「何もなさ」を守り続けることで、院の未来を支えています。派手な成果を残さなくても、続いていく安心を更新し続ける。それがCAの一日なのです。

CAを目指しませんか?

派手な結果ではなく、続いていく安心を選びたい。人を動かすよりも、人が自然でいられる場を守りたい。文化を一度つくるのではなく、日常の中で何度も更新し続けたい。

もしあなたがそうした価値に惹かれるなら、カイロプラクティックアシスタントという生き方は、あなたの価値観と深く響き合うはずです。

特別なことは何も起きていない。その一日を、誰よりも大切にできる人。それこそが、これからの時代に必要とされるCAの姿です。

塩川 雅士D.C.

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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