カイロプラクティックの静的触診における7つ黄金ルール

あなたは、静的触診にどれだけこだわれていますか?
初めまして。塩川カイロプラクティック副院長、シオカワスクール講師の高島克哉です。
早速ですが、あなたは普段行っている触診にどれだけこだわっているでしょうか?
カイロプラクティックの検査の中でも、触診は非常に重要な役割を担います。とくに「静的触診」は、皮膚や筋肉の状態から体の変化を読み取り、神経にかかる負担(サブラクセーション)の兆候を見つけるために欠かせないものです。
一見すると「ただ触れているだけ」に見えるかもしれません。けれど、術者がどのように触れるかで得られる情報の正確さも、患者様の安心感も大きく変わってきます。ここでは、静的触診を行うときに意識している7つのポイントをご紹介します。
1. 力を入れすぎない
静的触診で最も大切なのは「やさしく触れること」です。
力を込めすぎると、術者自身が繊細な変化を感じ取れなくなります。また、強い力は患者様の皮膚や筋肉に不快感を与え、体が自然と緊張してしまいます。
人の体は、触れられた圧や温度を敏感に感じ取ります。そのため、軽くて柔らかい接触こそが「正確な情報」と「安心感」の両方を引き出すカギになります。
2. 爪やアクセサリーを外す
爪が長いと皮膚に食い込んでしまったり、アクセサリーが触れると金属の冷たさで驚かせてしまうことがあります。
「術者の手以外のものが患者様に触れないようにすること」――これは検査以前に、信頼関係を築くための思いやりでもあります。
3. 安心できるやさしい接触
触れるときの理想的な強さは「爪が白くならない程度」。とても軽い圧ですが、この方が患者様もリラックスでき、術者も繊細な情報をキャッチできます。
もちろん学び始めは難しいかもしれません。最初は少し強めに触れてしまっても構いません。大切なのは、最終的に「やさしい圧でしっかりと感じ取れる」感覚を育てていくことです。
4. 支える手(支持手)を使う
カイロプラクティックでは、接触する手とは反対の手を「支持手(S.H.)」と呼びます。この手で体を安定させながら触れることで、患者様は「ここを触られるんだ」と安心できます。
支持手は、ただ支えるだけでなく術者の姿勢を安定させる役割もあります。自分の体を安定させることで、接触手の感覚をより繊細に使えるようになるのです。
5. 圧を一定に保つ
触れる圧が強くなったり弱くなったりすると、患者様は安心できませんし、検査の正確さも落ちてしまいます。
圧を一定に保つことで、左右や上下のわずかな違いを客観的に比べることができるのです。
6. 指先だけでなく手のひら全体で触れる
指先は一点に集中する分、細かい変化は感じやすいですが、広い範囲の情報を取りにくいという弱点もあります。
そこで、手のひら全体で触れるようにすると、温度の違い、弾力の差、むくみの有無などを大きな面でとらえることができます。
また、手のひらで触れる方が患者様に安心感を与えます。指先だけで触れるとどうしても圧が強くなりやすいため、不安や緊張を生みやすいのです。
7. その人の体の中で比較する
人の体は一人ひとり違います。柔らかい人もいれば硬い人もいますし、痛みに敏感な人も鈍感な人もいます。
ですから、「他人と比べる」のではなく「その人自身の体の中で比べる」ことが大切です。
左右差や上下差を比較することで、その方にとっての異常や負担を正確に見つけることができます。
まとめ
静的触診はシンプルに見えますが、その質を高めるには細やかな配慮が欠かせません。
・力を入れすぎず、優しく触れる
・爪やアクセサリーを外して異物感をなくす
・爪が白くならない程度のやさしい圧で触れる
・支持手と声かけで安心感を与える
・圧を一定に保ち、比較を正確にする
・手のひら全体で広い範囲を感じ取る
・その人自身の中で差を見極める
これらを意識することで、触診はただの確認作業ではなく、安心感と信頼を育てる時間になります。術者の手の在り方ひとつで、検査の正確さも、患者様の安心感も大きく変わるのです。
静的触診は、ただ触れるだけの作業ではなく、患者様に安心感を与えながら体の変化を正確に見極める大切なプロセスです。
力を使わず、一定の圧で、そしてその方の体の中で比較すること。こうした小さな積み重ねが、確かな結果につながります。
ただし、ここでお伝えした内容はあくまで「触診の基本的な考え方」です。
実際の臨床では、静的触診だけでなく視診や動的触診を組み合わせ、総合的に判断していく必要があります。
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「検査で8割が決まる」――この言葉を実感していただけるはずです。