臨床で最も難しい症例をどう乗り越えるか?慢性患者と人工サブラクセーションの対応法

臨床

カイロプラクティックの臨床において、なかなか結果が出にくいと感じる患者様は少なくありません。そうした患者様には、大きく2つのタイプが存在します。それは、「慢性的患者」と「人工的に作られたサブラクセーション」を抱えた患者様です。本記事では、これら2つのタイプについて詳しく解説し、それぞれの対応方法についてお伝えします。

1. 慢性的患者のケース

問題の特徴としては、長期間サブラクセーションが放置されたことで問題が進行し、身体に大きな影響を及ぼしているケースです。具体的には、椎間板の厚さが元の3分の1以下に減少しているような状態で、10年から15年以上サブラクセーションが放置された問題が挙げられます。このような患者さんの症状は、自然治癒にも時間がかかるため、短期間で結果を出すことは難しいと言えます。

慢性的な症状は、悪化するのに時間がかかった分、改善にも同様に時間が必要になるので、 長期的な治療計画。数ヶ月から数年単位での治療計画を立て、徐々に自然治癒を促します。また、定期的なアジャストメントと生活習慣の指導を通じて、患者様と長期的な信頼関係を築くことも大切になります。

また、 患者の理解を得ることも重要になります。時間がかかる理由を患者様に丁寧に説明し、ケアへのモチベーションを維持してもらうことが大切です。

2. 人工的に作られたサブラクセーション

「人工的なサブラクセーション」とは、カイロプラクターや他の治療家が意図せずに作り出してしまった身体の問題を指します。これは、正確な検査を行わず、手の感覚だけでアジャストメントを繰り返した結果、生じる可能性があります。この問題が発生すると、患者様は他院を転々とし、症状が改善しないばかりか悪化してしまうケースもあります。

このケースの場合には、•過去の治療履歴の確認を行い、他院で行われた施術内容をしっかり把握し、問題の原因を特定することが重要です。また、より慎重で科学的な検査の必要が求められます。 客観的な検査とデータの活用し、レントゲン評価を駆使し、問題を正確に特定します。そして何よりも正確な技術力が必要になります。過剰なアジャストメントを避け、患者様の身体に不要な負担をかけないようにします。

臨床での難しい症例への向き合い方

これら2つのタイプの患者さんに共通するのは、「正確な科学的な検査」と「正確な技術」の重要性です。慢性的な患者様の場合でも、人工的なサブラクセーションを抱えた患者様でも、ケアの出発点は正確な診断にあります。

カイロプラクターとしての心構え

臨床の場では、短期的な結果だけを追い求めず、患者様の長期的な健康を第一に考える必要があります。また、自身の技術を常に向上させる努力を怠らず、科学的な検査やデータの活用を積極的に取り入れることが、患者さんの信頼を得る鍵となります。

まとめ

臨床で難しい症例には、「慢性的な問題」と「人工的に作られたサブラクセーション」の2つがあります。それぞれ異なる特徴を持つこれらの患者さんに対しては、慎重で継続的な対応が必要です。カイロプラクターとしての技術力や科学的な視点を磨きつつ、患者さんの身体の声に耳を傾けることが、成功への道を切り開くでしょう。

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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