様々なケースへの対応が可能なアドバンス体表温度測定検査テクニック

体表温度測定

小児の場合

皮膚が柔らかい女性などは注意が必要ですが、小児の場合は特に皮膚の遊びに注意する必要があります。通常通りにスコープをスライドさせていくと、まるで除雪車が雪を集めていくように皮膚の遊びが一か所に集中してしまいます。小児を測定するポイントとしては、点を打つように少しずつスコープをズラしていく測定法が有効となります。これによって皮膚の遊びに惑わされることなく、正しい検査ができるようになります。

体毛が濃い場合

体毛は体の弱い部分を補強しようと生えてくるものとなります。例えば腰の悪い人は、腰部にだけ体毛が生えているケースがあります。逆を言えば、ブレイクの可能性が高いわけですが、このときの測定でも注意が必要となります。スコープの感度を高く設定していると、体毛部分をスライドさせていくときに針が片側へ振れてしまうことがあります。体毛の影響で片側のコイルに熱が伝わらなければ、反対側へ針は鋭く触れてしまい、偽のブレイクを拾う形となってしまいます。感度を低め “L” に設定して通常よりもゆっくりとしたスピードで測定することで正しい情報を引き出すことができます。

皮膚の炎症、ほくろ、隆起、しわがある場合

スコープが通る上皮の隆起部(大きなホクロや傷跡の瘢痕組織)で測定時に、一定のスピードを妨げ、器具の先端部が体表から離れてしまい正確性を欠いてしまいます。

プローブが浮いた瞬間の針の動きは鋭い動きになることが多いのでブレイクと間違えてしまうことがあります。この場合は、プローブの幅を少しだけ調節して測定するようにします。

重度の瘢痕組織には、傷口が深いため毛細血管を損傷し、正確な体表温度を測定することが出来ません。特に脊柱や脊柱周辺における外科的手術が行われた部位も同じことが言えます。

また、炎症性の上皮における外傷(皮膚感染)などは、炎症が起きているので熱を放出している側へ傾いてしまい、正確性を欠いてしまいます。

薬を服用している場合

処方される薬や市販で売られている薬には、交感神経や血管作用性に大きな影響をもたらします。このような科学物質は、神経系の働きを抑制し、体表温度に影響を与えます。

よって薬の服用は、正確な体表温度を検査することが出来ず、サブラクセーションの特定に悪影響を与えます。

例えば、非ステロイド抗炎症薬(アスピリン、イブプロフェイン)、精神安定剤、抗うつ剤、精神刺激剤、コカイン、カフェインなどなど。生理学的上身体に反応が弱い薬であれば、病理学的パターンにはほとんど影響はありませんが、反応が強い薬であれば、完全にパターンの分析は不可能になります。

必ず薬については、医者の承諾を得たうえで判断することが重要になります。

スライドした後が残る場合

測定時にスコープをスライドした部分が赤く残る(発赤)場合、化学物質のバランスの乱れ、または副腎機能障害の可能性があります。その場合は、酸性の食べ物:フルーツジュース、カフェインなどは控えた方がいいとされています。

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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