初心者でも安心!動的触診の基礎から応用まで完全解説

動的触診

正確なサブラクセーション特定で施術の精度を高める

カイロプラクティックにおける骨盤部の動的触診は、サブラクセーション特定の最終決定を行う重要な技術です。シオカワスクールのカイロプラクティック・システムでは、視診、体表温度測定、静的触診、動的触診、レントゲンの5つの評価法を用いてサブラクセーションを特定しますが、その中でも動的触診が施術の精度を大きく左右します。

骨盤部では腸骨、腰椎5番(L5)、仙骨基底部(S1)、仙骨の分節(S2~S5)のいずれからアプローチすべきかを特定する必要があり、全体で65通りものリスティングから1つを選び抜く高度な技術が求められます。

本記事では、動的触診を正確に行うために必要な5つのポイントを解説します。動的触診に課題を感じている方はぜひ参考にしてください。

1. 患者の座位姿勢を整える

動的触診を行う際、患者様の座位姿勢は検査の正確性に大きく影響します。適切な座位姿勢を確保することで、患部の初動を正確に感じ取ることが可能です。

  • 不適切な姿勢の例
    • 腰が丸まっている:腰部の可動性が干渉し、骨盤の動きが正確に分析できない。
    • 胸を張りすぎている:起立筋が緊張し、骨盤部の動きが制限される。
  • 適切な姿勢の調整
    腰部の後湾カーブをある程度なくし、患者様がリラックスできる姿勢を作ることで、骨盤部の初動を的確に把握できます。

2. 術者の姿勢を整える

術者自身の姿勢は、動的触診の精度だけでなく、身体への負担にも関わります。特に、骨盤部の検査は下方に位置するため、正しい姿勢が不可欠です。

  • ポイント
    • 骨盤を低くし、腰を落として起立筋が緊張しない高さに調整します。
    • サービカルチェアーの高さや座面に台を設置し、子供や背丈の低い患者様にも対応。
    • 両足を広げたスタンスで重心を低くし、上半身を無理に前かがみにしない。

術者がリラックスして触診を行うことで、患者様も安心して検査を受けられます。

3. コンタクト・ハンドの正確な使い方

コンタクト・ハンドは、患部の初動を正確に感じ取るための要となります。圧の強さや手の使い方が、触診の精度を左右します。

  • 圧の目安
    透明なクリアボードに指を接触した際、指先が白くならない程度。圧が強すぎると感覚が鈍るため、最小限の圧を意識しましょう。
  • 指の配置
    • 利き手でPSISを挟むようにコンタクト。
    • 左右のPSISに対して示指と中指を使い、必要に応じて親指や他の指も安定に活用。
  • 仙骨基底部や分節の触診
    広範囲にわたる部位は、指先を少しずつ移動させながら動的触診を行います。

4. 固定手の位置と役割

固定手(コンタクト・ハンドの反対の手)は、患者様を安定させると同時に、触診の精度を高める重要な役割を果たします。

  • 配置
    • 利き手が右手の場合、固定手は左手で患者様の右肩を支え、肘で左肩を支える。
    • 両肩を一本の棒で固定するようなイメージで圧を分散します。

固定手を安定させることで、患者様に安心感を与え、スムーズな検査を実現します。

5. 言葉と固定手での誘導

患者様の可動性を適切に誘導するためには、言葉による説明と固定手でのガイドが重要です。

  • ポイント
    • 胸椎や腰椎が動かないよう、脊柱を真っ直ぐに保ちながら骨盤部を側屈。
    • 固定手で均等に圧をかけ、片側に過剰な圧をかけない。

患者様がリラックスした状態で検査を受けられるよう、丁寧に誘導を行いましょう。

動的触診を習得し、施術の精度を高める

今回ご紹介した5つのポイントを意識することで、骨盤部の動的触診の精度が飛躍的に向上します。正確な触診技術を習得することで、患者様の状態をより的確に把握し、信頼される施術を提供できるようになります。

シオカワスクールでは、触診技術を基礎から実践的に学べるカリキュラムを提供中です。伝統と本物のカイロプラクティック教育を通じて、技術力を高めたい方はぜひ体験セミナーにご参加ください。

執筆者塩川 雅士D.C.

1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。

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